セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研41:肝両葉に多発した類上皮血管内皮腫の一切除例 |
演者 | 岡村 卓真(長崎大学) |
共同演者 | 高槻 光寿(長崎大学), 曽山 明彦(長崎大学), 虎島 泰洋(長崎大学), 夏田 孔史(長崎大学), 足立 智彦(長崎大学), 北里 周(長崎大学), 小坂 太一郎(長崎大学), 三島 壯太(長崎大学), 伊藤 信一郎(長崎大学), 山之内 孝彰(長崎大学), 藤田 文彦(長崎大学), 金高 賢悟(長崎大学), 南 恵樹(長崎大学), 黒木 保(長崎大学), 江口 晋(長崎大学) |
抄録 | 症例は42歳、女性。肝血管腫の診断にて近医で経過観察されていた。フォローアップの腹部造影CTで造影パターンが血管腫とは異なる、辺縁に淡い造影効果を有する境界不明瞭な低吸収域を右葉に3箇所、S4に1箇所認めた。腹部造影MRIにて類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma;EHE)が疑われ、肝生検にて、類上皮血管内皮腫の診断を得て、精査加療目的に当院紹介となった。胸部で両肺に5mm大の結節影が散見され、PET-CTでも肝両葉の病変に淡い集積を認めた他、肺病変の一部に淡い集積を認めたものの炎症との鑑別は困難であった。結果、肺病変は質的診断には至らず、肝臓の多発病変は切除可能と考えられた為、肝右葉切除術とS4部分切除術を施行する方針とした。手術は腹腔鏡下に上腹部正中の創からHand assisted laparoscopic surgeryにて肝を脱転し、直視下に実質切離を行うハイブリッド手術を施行。同術式にて正中創から両葉の病変へのアプローチは良好であった。切除標本の病理診断では、HE染色の所見に加えて、免疫染色にて血管内皮細胞マーカーであるCD31が陽性、また造血幹細胞マーカーCD34が陽性でありEHEと診断した。術後経過は良好で術後11病日に自宅退院となった。術後2年が経過、全身状態良好であり、残肝に再発なく、また肺病変も増大傾向や他病変の出現を認めていない。EHEは稀な血管内皮由来の非上皮性腫瘍であり、平均年齢41.7歳と比較的若年に発症し男女比は2:3と女性に多く見られる。悪性度は血管腫と血管肉腫の中間と考えられており、治療法の選択には生検も含めた正確な診断が重要である。5年生存率は40%と報告されるが、肝切除施行例では5年生存率は75%と報告されており、外科治療が第一選択となる。但し、多発の状態で発見されることも多く、発見時切除不可例には肝移植施行の報告も見られる。本症例は初発時に既に肝両葉に多発していたが、葉切除と部分切除の組み合わせで、上腹部正中切開にて一期的切除が可能であった。腫瘍の性質から、再発時の再切除の有効性が考えられ、治療のタイミング逸しない綿密なフォローアップが重要である。 |
索引用語 | 類上皮血管内皮腫, 肝切除 |