セッション情報 一般演題

タイトル 168:

高分化腺癌に神経内分泌細胞癌が混在する直腸癌に対して化学療法中に下歯肉転移を発症した1例

演者 原口 雅史(健康保険諫早総合病院消化器内科)
共同演者 三根 祥一郎(独立行政法人国立行政機構嬉野医療センター消化器内科), 城谷 麻衣子(健康保険諫早総合病院消化器内科), 田渕 真唯子(健康保険諫早総合病院消化器内科), 植原 亮平(健康保険諫早総合病院消化器内科), 大場 一生(健康保険諫早総合病院消化器内科), 中島 正洋(長崎大学原爆後障害医療研究施設腫瘍診断病理学研究分野)
抄録 症例は55才、男性。歯肉腫脹、腹部膨隆を主訴に来院。現病歴;2型糖尿病、高脂血症にて当院通院中。CTにて直腸腫瘤、多発肝結節を指摘され2011.8月当科紹介。下部消化管内視鏡にて上部直腸(Ra)に約3cmの2型腫瘤を指摘され、生検の結果直腸癌の診断となる。生検組織所見では、高分化腺癌以外に神経内分泌細胞癌を示唆する小型の細胞が胞巣状に増生する部分も認め、分化の異なる2つの成分を含む所見であった。十分なインフォームドコンセントの上、同年9月よりS-1内服開始。同年12月のCTでは転移性肝腫瘍の縮小を認めたが2012年3月のCTでPDの判定となったため、4月からFOLFILI+Bev.導入。しかし、6月のCTで肝腫瘍のさらなる増大を認めたため7月からFOLFOX+Bev.開始。外来化学療法継続中であったが、肝腫大は増悪傾向であり、7月中旬から下歯肉の腫脹、疼痛が出現した。歯肉部腫脹の生検では小型の類円形細胞が胞巣状に増殖し、免疫染色ではCK7-、CK20-、AE1/AE3+、p63-、synaptophysin-、chromograninA-、vimetin-、CD56+であった。直腸癌からの生検で検出された神経内分泌細胞癌の成分と同じ発現型であり、同部位からの転移と考えられた。【考察】顎口腔領域の転移性腫瘍は口腔に発生する腫瘍の約1%と低頻度であり、その中でも大腸を原発とする腫瘍は約5%と大腸癌由来の転移性口腔腫瘍は非常に稀である。また、本例においては異なる2つの成分の組織が混在した直腸癌であったが、神経内分泌細胞癌については化学療法による十分な効果が得られなかったため同組織の歯肉転移を来したと考えられる。歯肉転移を来した高分化腺癌と神経内分泌細胞癌が混在した直腸癌の1例を経験したため若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 直腸癌, 神経内分泌細胞癌