セッション情報 | シンポジウム「消化器疾患における新規治療法」 |
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タイトル | S2-10:食道アカラシアに対する新しい内視鏡的治療POEMの臨床経験 |
演者 | 山下 兼史(福岡大学病院 消化器外科) |
共同演者 | 塩飽 洋生(福岡大学病院 消化器外科), 山下 まり(福岡大学病院 消化器外科), 別府 理智子(福岡大学病院 消化器外科), 大宮 俊啓(福岡大学病院 消化器外科), 中島 亮(福岡大学病院 消化器外科), 山名 一平(福岡大学病院 消化器外科), 槙 研ニ(福岡大学病院 消化器外科), 城下 豊生(福岡大学病院 消化器外科), 武野 慎祐(福岡大学病院 消化器外科), 佐々木 隆光(福岡大学病院 消化器外科), 星野 誠一郎(福岡大学病院 消化器外科), 井上 晴洋(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター), 山下 裕一(福岡大学病院 消化器外科) |
抄録 | 【はじめに】食道アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全及び食道体部の蠕動障害により食道から胃への通過障害をきたす疾患である。従来まで、薬物療法に抵抗性の食道アカラシアに対しては主に内視鏡的バルーン拡張術が行われてきたが、恒久性に欠けるため、繰り返し治療を行う場合が少なくなかった。一方、Heller-Dor手術は、恒久性はあるものの、術後の逆流性食道炎の併発や整容性という点で課題が残されていた。これら従来の治療法に代わるべく、2008年に経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy:POEM)という新しい治療法が、井上らによって報告されて以降、国内外の先進施設でPOEMが積極的に行われてきている。当院でも、2011年9月より、POEMを11例施行した。その手技の概要および、治療成績について報告する。【方法】POEMは全身麻酔下、仰臥位、CO2送気下で行う。ESDの手技に基づき、食道の粘膜を切開し、経口内視鏡を粘膜下層へ挿入。食道の粘膜切開部から胃側3cmまで粘膜下層トンネルを作成し、口側から肛門側へかけ、内腔より食道の筋層(内輪筋)切開および胃側筋層切開を置く。これらの筋層切開が終了した後、粘膜切開部をクリップにて閉鎖し、手技を終了する。【結果】食道アカラシア10例(直線型9例、シグモイド型1例)、び慢性食道痙攣症1例に対しPOEMを行った。食道アカラシアのうち2例はバルーン拡張術の既往があった。男女比4:7、年齢は48.5±16.5歳、病悩期間は88.4±74.2ヶ月であった。手術時間は133.3±51分、筋層切開長は15.2±5.2cm、術後在院日数は5±1.3日であった。偶発症は認めなかった。Eckardtスコアは術前6.8±1.9点→術後0.27±0.9点(P<0.005)と、有意差をもって改善。現在まで逆流性食道炎の併発も認めていない。【結語】POEMは食道アカラシアに対する新たな内視鏡治療である。諸家らの報告も併せると、全てのアカラシアに適応可能であり、重篤な合併症も認められていないことから、今後は、食道アカラシアに対する標準治療になっていくと考えている。 |
索引用語 | POEM, 食道アカラシア |