セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専83:腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した高度進行虫垂癌の1例 |
演者 | 岡田 怜美(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
共同演者 | 藤田 文彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 崎村 千香(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 三島 壯太(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 伊藤 信一郎(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 小坂 太一郎(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 曽山 明彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 足立 智彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 北里 周(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 山之内 孝彰(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 南 恵樹(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 高槻 光寿(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 安倍 邦子(長崎大学病院 病理部), 高原 浩(高原中央病院), 江口 晋(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
抄録 | 【背景】原発性虫垂癌は比較的希な疾患であり、術前に虫垂炎や卵巣癌との鑑別診断が困難なこともある。多くは虫垂炎や盲腸周囲の膿瘍などで発見され、早期には特異的な症状を呈さないことから発見時にはすでに進行していることが多い予後不良な疾患である。今回我々は、回腸へ壁外浸潤をきたした高度進行虫垂癌症例に対し腹腔鏡補助下に回盲部切除を施行したので報告する。【症例】60代、男性。労作時の息切れおよび動悸を主訴に近医を受診した。高度の貧血を認め、大腸内視鏡検査が施行された。虫垂入口部および回腸末端部に易出血性の隆起性病変が認められ、進行虫垂癌を疑い手術目的に当科紹介となった。全身CT検査では、盲腸および回腸を巻き込むような直径6cm大の腫瘤を認め、また、肺に小結節が指摘され肺転移が疑われた。貧血の進行により、まず原発巣の切除を行った上で全身化学療法を行う方針とした。手術は低侵襲化を目指し腹腔鏡補助下手術を予定した。【手術所見】腹腔鏡下に観察すると、腫瘍は後腹膜および側腹壁へ浸潤していた。まずはリンパ節郭清および血管処理を先行させ、最後に腫瘍周囲の切離を行った。腫瘍より少し離れた部分から壁側腹膜に切開を加え、切離線を十分に確保した。後腹膜では右精巣動静脈に浸潤していたため、同脈管を合併切除した。臍部に約7cmの小切開を加え、腫瘍を含めた回盲部を切除し、機能的端々吻合を行って手術を終了した。【術後経過】術後1日目より歩行可能となり、2日目からは食事を開始した。合併症無く術後9日目に退院となり、早期から肺転移巣に対する全身化学療法が可能となった。【結語】周囲組織に浸潤した高度進行虫垂癌に対して、腹腔鏡の拡大視効果を生かした腹腔鏡補助下手術を安全に施行することができた。その後の全身化学療法にも迅速に移行することができ、進行大腸癌に対する有用な方法であると思われる。 |
索引用語 | 虫垂癌, 腹腔鏡手術 |