抄録 |
患者は20歳男性。2012年8月14日に1ヶ月ぶりにラグビーの練習をしていた際意識消失したため近医受診。受診時体温37.5℃、血圧84/60mmHg、脈拍140/分とショックバイタルを認め、血液検査にて腎機能障害認めた。熱中症にて点滴加療行われたところ症状改善認めたため帰宅となった。翌日より、倦怠感、食欲低下認めたため前医受診し、血液検査にて肝酵素の著明な上昇認めており、急性肝障害の診断にて2012年8月16日当院紹介受診となった。当院でも血液検査、腹部超音波検査施行したところ、AST801、ALT1302、肝腫大認めたため、入院安静にて加療の方針となった。入院後は安静にて症状改善、採血フォローにて肝酵素改善したため2012年8月25日退院となった。今回の肝障害の原因としては当院採血データにてウイルス性、自己免疫性は否定的であり、服薬歴より薬剤性も否定的であった。熱中症により、脱水に加えて末梢血管拡張し、有効循環血漿量低下による肝血流低下したため肝障害が引き起こされたと考えられる。熱中症は中枢神経障害、DIC、多臓器不不全など様々な病態をきたしうる疾患であり重篤な肝障害をきたしうる可能性がある。今回のように安静にて軽快した症例がほとんどであるが、血漿交換や肝移植までの治療が行われた例も報告されており、早期の発見が肝要と思われる。若干の文献的考察を交えて報告する。 |