セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専31:

胸腔鏡補助下腫瘍核出術に内視鏡的粘膜下層剥離術を併用した食道粘膜下腫瘍の1例

演者 中山 正彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科)
共同演者 金高 賢悟(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 伊藤 信一郎(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 岡田 怜美(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 藤田 文彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 高槻 光寿(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 南 ひとみ(長崎大学大学院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学大学院 消化器内科), 江口 晋(長崎大学大学院 移植・消化器外科)
抄録 背景:食道平滑筋腫は比較的まれであるが、食道に発生する非上皮性良性腫瘍のなかでも最も多いとされている。今回我々は、胸部中部食道に発生した平滑筋腫に対し、内視鏡的粘膜下層剥離術を併用し胸腔鏡補助下腫瘍核出術を施行したので報告する。症例:40代、女性。以前より嚥下時のつかえ感と体重減少を自覚していた。職場健診にて透視検査を施行され、胸部中部食道の気管分岐部直下に44mm×40mmの粘膜下腫瘤を認めた。胸部CTでは領域リンパ節に腫大を認めなかった。当院消化器内科にてEUS-FNAを施行されLeiomyoma平滑筋腫の診断となり、手術目的にて当科紹介となった。自覚症状があることから手術適応と判断し、胸腔胸補助下腫瘍核出術を予定した。手術所見:胸腔鏡操作にて胸部中部食道周囲の剥離を進め、腫瘍部位を観察したが、外膜面からは食道が軽度膨隆しているのみであり、腫瘍の存在部位は明らかでなかった。上部消化管内視鏡にて観察すると、腫瘍は胸部中部食道左側壁に存在していた。内視鏡操作にて腫瘍口側より粘膜下層へ進入し、腫瘍の周囲を剥離した。続いて胸腔鏡操作にて食道筋層を切離し、核出した。食道筋層を体腔内結節縫合し、粘膜下層への進入部粘膜をクリッピングして手術を終了した。術後経過:術後3日目に食道造影を施行して狭窄や縫合不全のないことを確認し、経口摂取を開始した。その後も合併症なく術後10日目に退院となった。術後1ケ月で施行した上部消化管内視鏡検査でも食道の狭窄や潰瘍は認めず、現在も問題なく経過されている。結語:近年、食道粘膜下腫瘍に対し胸腔鏡補助下腫瘍核出術が施行されることが多くなってきているが、粘膜欠損部を縫合する必要がある場合もあり、術後の食道狭窄が問題となっている。胸腔鏡操作に内視鏡操作を併用することで、食道筋層の欠損を出来るだけ少なくし、手術の低侵襲化することが可能であり、有用な手術方法であると考えられた。
索引用語 食道粘膜下腫瘍, 胸腔鏡補助下腫瘍核出術