セッション情報 一般演題

タイトル 131:

Meckel憩室を伴った重複腸管に対し単孔式腹腔鏡下手術を行った一例

演者 高江 芳恵(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科)
共同演者 馬場 研二(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科), 田辺 寛(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科), 柳田 茂寛(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科), 盛 真一郎(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科), 夏越 祥次(鹿児島大学消化器乳腺内分泌外科)
抄録 Meckel憩室を伴った重複腸管に対し単孔式腹腔鏡下手術を行った一例を経験したので報告する。症例は31歳女性で突然の心下部痛を主訴に近医受診した。CTにて右骨盤内に石灰化を伴う6cm大の嚢胞性病変を認め、右卵巣漿液性嚢胞を疑われ当院婦人科受診となった。超音波検査にて同部位の蠕動を認め精査となった。当院でのCTでは、右下腹部にairと浸出液を有する5cm大の嚢胞性病変を認め、小腸憩室や重複腸管が疑われた。MRIでは右骨盤内に61mm大の嚢胞性病変を認め、T1W1にてやや高信号、T2W1にて高信号であり、出血や蛋白濃度の高い成分を有する卵巣漿液性嚢腫が疑われた.小腸造影では、下部回腸に淡く造影される造影剤の溜りがあり、小腸憩室が疑われた。異所性胃粘膜シンチグラムでは膀胱上部、子宮右側に強い異常集積があり、嚢胞状腫瘤と一致する異所性胃粘膜の存在が認められ、Meckel憩室と診断された。以上より有症状のMeckel憩室症の診断にて手術の方針となった。手術は若年で女性であったため、臍部の単一カ所で行う単孔式腹腔鏡下手術を行った.臍部を2.5cm切開し開腹,楕円形EZアクセスを装着し、同部位に3本のポートを留置し手術を行った。腹腔内を観察すると、回盲部から約60cm口側の回腸に嚢状に拡張した憩室を認めた。周囲と癒着しており、これを剥離し、臍部から体外に誘導し切除を行った。Meckel憩室と思われていた構造物は、腸間膜を有していたため重複腸管と診断した。ドレーンは留置せず閉創した。術後2日目に食事開始し、術後6日目に退院となった。整容性や低侵襲性の向上を目指した新しい取り組みとして単孔式腹腔鏡下手術が導入され,普及しつつある.本症例は若年女性であり、整容性に優れた単孔式腹腔鏡下手術を行うことにより患者の満足度が高かった。重複腸管に対して単孔式腹腔鏡下手術を行った報告はなく、文献的考察を加え報告する.
索引用語 単孔式腹腔鏡下手術, 重複腸管