セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専84:

肝限局型のOsler Weber Rendu病に多発肝膿瘍を合併した1例

演者 長野 秀紀(福岡大学病院 消化器外科)
共同演者 石井 文規(福岡大学病院 消化器外科), 山内 靖(福岡大学病院 消化器外科), 乗富 智明(福岡大学病院 消化器外科), 山下 裕一(福岡大学病院 消化器外科)
抄録 Osler Weber Rendu病は皮膚や粘膜の毛細血管拡張や肺・脳・肝・消化管の動静脈瘻や動静脈奇形を来す疾患で、肝に限局した病変はまれである。今回我々は、肝に限局した著名なAV shuntを特徴とするOsler Weber Rendu病に多発肝膿瘍を合併した1例を経験したので報告する。
症例は67歳、女性。2007年11月に腹痛と発熱を主訴に当院消化器内科を受診した。血液検査で炎症反応と肝胆道系酵素の上昇を認めた。また、腹部CT検査で肝内に多発する低吸収域と胆嚢腫大を認めた。胆道感染による多発肝膿瘍を疑い抗生剤投与が開始された。しかし、炎症反応の改善が得られた後も肝内の低吸収域は消失しなかったため当科紹介となった。MRCP検査では胆道系に明らかな病変は指摘できなかった。血管造影検査で肝全域に著名なAV shunt及びAP shuntを認めるも明らかな腫瘍性病変は指摘できなかった。また、肝以外の消化管や肺、脳には血管奇形は認めなかった。肝内の低吸収域は著変なかったため抗生剤投与を継続していたが、2011年5月に右横隔膜下膿瘍と右胸水が出現した。経皮的ドレナージ後に肝膿瘍との交通が確認され、肝膿瘍の横隔膜下への穿破と診断した。
現在も経皮的ドレナージと抗生剤投与で加療中である。
本症例における診断と治療と診断の問題点について若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Osler Weber Rendu病, 肝膿瘍