セッション情報 一般演題

タイトル 089:

肝細胞癌との診断に難渋した稀な肝細胞腺腫の1切除例

演者 野田 昌宏(鹿児島厚生連病院 外科)
共同演者 辺木 文平(鹿児島厚生連病院 外科), 中島 三郎(鹿児島厚生連病院 外科), 小倉 芳人(鹿児島厚生連病院 外科), 前之原 茂穂(鹿児島厚生連病院 外科), 樋脇 卓也(鹿児島厚生連病院 内科), 山下 容雅(鹿児島厚生連病院 外科), 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院 内科), 庄 幸彦(鹿児島厚生連病院 内科), 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院 内科), 馬場 芳郎(鹿児島厚生連病院 内科), 田原 憲二(鹿児島厚生連病院 内科), 窪薗 修(鹿児島厚生連病院 内科), 上野 真一(鹿児島大学 消化器外科・乳腺甲状腺外科), 夏越 祥次(鹿児島大学 消化器外科・乳腺甲状腺外科)
抄録 【はじめに】肝細胞腺腫は欧米にては糖原病や経口避妊薬との関連性が報告されているが、本邦においては比較的稀な疾患である。また、各種画像診断にても高分化型肝細胞癌との鑑別も困難なことが多い。今回我々は、肝細胞癌が疑われ外科切除を施行した稀な肝細胞腺腫の1例を経験し報告する。【症例】61歳・女性。既往歴は子宮筋腫・虫垂炎の手術を認め、糖尿病にて内服加療中であった。現病歴は2011年9月胸痛を主訴に当院入院し、その際肝腫瘍を指摘された。入院時検査所見にて軽度の肝機能障害が認められた。更に画像検査では、肝S5に約20mmの肝腫瘍を認め、腹部USにてlow density areaを、腹部CTにて造影早期に造影効果を認める像を、腹部MRIにてEOB取り込みの増強する像を、血管造影検査では腫瘍濃染像をそれぞれ認めた。以上より肝細胞癌も否定できなかったため、2011年10月手術を施行した(肝生検は希望せず)。開腹時、肝S5に径20mmのやや黒色調の病変を認め肝部分切除術を施行した。切除標本にて、褐色調の大小の結節が癒合した腫瘍を認めた。病理組織学的検査にて、異型を欠いた類円形核を有する腫瘍細胞の索状配列を認め、病巣内には筋性腫瘍血管が発達していた。以上より肝細胞腺腫と診断された。術後経過は良好で、現在再発等は認められていない。【考察】今回稀な肝細胞腺腫の1例を経験し報告した。術前の画像診断による肝細胞癌との鑑別には注意を要すると考えられた。
索引用語 肝細胞腺腫, 良性肝腫瘍