セッション情報 一般演題

タイトル 050:

遺残虫垂炎に対し、内視鏡的治療が奏功した1例

演者 山元 文晴(霧島市医師会市立医療センター)
共同演者 吉元 英之(霧島市医師会市立医療センター), 元高 浩徐(霧島市医師会市立医療センター), 久米村 秀(霧島市医師会市立医療センター), 二渡 久智(霧島市医師会市立医療センター), 風呂井 彰(霧島市医師会市立医療センター)
抄録 【症例】45歳男性【症状】心窩部痛・右下腹部痛【既往】虫垂切除術(小学生のころ)【現病歴】2012年7月27日より心窩部痛あり。前医受診し機能性胃腸症として、経過観察中であった。しかし、その後も心窩部痛持続し、8月5日右下腹部に痛みが移動したため、当院夜間診療を受診した。【現症】体温36.8℃、血圧109/63 脈拍56回整。右下腹部に圧痛、反跳痛あり。【血液生化学所見】WBC 12600 Neu 72.6% CRP 3.93【画像所見】腹部Xp:明らかな異常ガス像なし腹部エコー:回盲部付近の壁肥厚 右側小腸の拡張【入院後経過】上記理学所見および画像所見から原因不明の回盲部炎と診断し、入院絶食補液管理で、ABPC/SBT使用し経過観察とした。その後、徐々に炎症反応は改善し、8月16日にはWBC 4900 CRP 0.09と改善したが、時折右下腹部の圧痛が出現した。入院後の腹部エコー及びCTで回盲部周囲の膿瘍形成と、糞石の指摘があり、炎症性腸疾患も考慮し、8月20日に下部消化管内視鏡検査施行した。遺残虫垂の開口部に糞石がみられ、同部位より膿汁の漏出を認めた。内視鏡生検鉗子を用いて糞石を破砕したところ、内部より膿汁が噴出した。その後、右下腹部痛は消失し翌日退院となった。8月27日に再診したが、腹痛の再燃無く、WBC 5300 Neu 52% CRP 0.03と炎症反応の再上昇も認めず、CT上も回盲部の膿瘍所見は不明瞭化した。【結語】今回、遺残虫垂膿瘍に対して、外科的手術を行うことなく、抗生剤と内視鏡的処置により軽快した1例を経験した。貴重な症例と考えられるので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 虫垂炎, 内視鏡