セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 155:生物学的製剤を使用中に肺結核を発症したクローン病の二例 |
演者 | 小野 陽平(慈愛会 今村病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 大井 秀久(慈愛会 今村病院 消化器内科), 宮田 生弥子(慈愛会 今村病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 水流 弘文(慈愛会 今村病院 消化器内科), 徳元 攻(慈愛会 今村病院 消化器内科), 河野 裕一(慈愛会 今村病院 消化器内科), 那須 雄一郎(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【背景】クローン病(CD)の治療は,従来栄養療法,5-ASA製剤を中心に行われてきたが,2002年Infliximab(IFX),2010年Adalimumab(ADA)の生物学的製剤(Biologics)が使用可能となり,より高次の治療が可能となった.一方、IFXの使用開始後10年が経過しその安全性についても様々な報告がなされており、結核を含めた感染症は頻度の高い副作用の一つである。今回、Biologics投与中に肺結核を発症した2症例を経験したので報告する。【症例1】37歳男性。1995年発症の小腸大腸型CD患者。繰り返す肛門周囲膿瘍、痔瘻あり、2010年4月IFX導入した。導入前のツベルクリン反応(TST)は弱陽性、胸部CTで明らかな異常所見は認めなかった。2012年7月、16回目IFX投与前の胸部X線で両肺野に粒状の浸潤影を認め、胸部CTで両側上葉胸膜側に粒状影、小結節影を認めた。喀痰、胃液の塗沫検査は陰性であったが全血インターフェロンγ応答測定法(IGRA)陽性であり、肺結核と診断した。現在IFX中止し、肺結核に対して4剤化学療法を行っている。【症例2】44歳男性。1982年発症の小腸型CD患者。2007年4月回盲部切除術、同年5月IFXを導入した。導入前のTSTは強陽性であったが、胸部CTで明らかな異常所見は認めなかった。2008年9月よりAZA50mg併用したが2010年6月頃よりIFX二次無効となり、2011年1月ADAを導入した。この際のTSTは弱陽性、IGRAは陰性、胸部CTで明らかな異常所見は認めなかった。同年4月頃より軽度の咳嗽と微熱を認めたが、胸部X線で異常のないことを確認しADA維持投与していた。しかしADAはほぼ一次無効に近い状態で、2012年8月IFX再導入の方針となった。この際のTSTは弱陽性であったが、IGRA陽性、胸部CTで両肺野に散在する粒状影を認めた。肺結核が疑われ、ADA中止し現在精査中である。【まとめ】CDに対してBiologics使用中に、肺結核(疑い)を発症した2例を経験した。Biologics長期投与例に対しては定期的な結核スクリーニングが必要と考えられるが、その時期、頻度について検討が必要であり,若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | クローン病, 生物学的製剤 |