セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研69:

直腸癌術後入院中に潰瘍性大腸炎と診断された一例

演者 笠井 亜衣(慈愛会今村病院消化器内科)
共同演者 大井 秀久(慈愛会今村病院消化器内科), 下村 寛貴(慈愛会今村病院消化器内科), 宮田 生弥子(慈愛会今村病院消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小野 陽平(慈愛会今村病院消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 水流 弘文(慈愛会今村病院消化器内科), 徳元 攻(慈愛会今村病院消化器内科), 河野 裕一(慈愛会今村病院消化器内科), 藤田 浩(慈愛会今村病院消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 天辰 仁彦(慈愛会今村病院外科), 前田 真一(慈愛会今村病院外科), 高取 寛之(慈愛会今村病院外科), 松本 正隆(慈愛会今村病院外科), 中馬 豊(慈愛会今村病院外科), 帆北 修一(慈愛会今村病院外科), 野村 秀洋(慈愛会今村病院外科)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎(UC)の合併症の一つに大腸癌があり,通常はUCの長期経過例で注意が必要である.今回直腸癌術後入院中に潰瘍性大腸炎と診断された一例を経験した.【症例】63歳男性.2010年1月頃より下腹部の違和感が出現,3月に下血を認め,前医を受診した.CSにて直腸Rbに腫瘍を認め,生検でWell differentiated adenocarcinomaの診断であり,当院外科紹介となった.入院時の検査所見ではCEA 1.0ng/ml, CA19-9 1.2U/mlと腫瘍マーカーの上昇無く,その他の検査値もほぼ正常範囲であった.CTでは直腸Rb左壁で造影効果を有する壁肥厚を認め,直腸動脈周囲と直腸左側壁にリンパ節の腫大を認めたが,その他の遠隔転移を疑わせる所見は認めなかった.4月30日,腹腔鏡補助下超低位前方切除+側方廓清,人工肛門造設術(ireostomy)を施行した.術後食事を再開したところ,術後10日目より肛門部より粘血便が出現し,増悪傾向であった.便培養でC.difficileが陽性でありメトロニダゾール 1000mg/日の内服を開始したが,血便の改善無く,術後33日目にsigmoid scopyを施行した.吻合部直上から口側へ連続性,びまん性に粗造粘膜を認め,浮腫性,易出血性であり,血管透見消失,膿性分泌物の付着を認め,UCが疑われた.生検結果もそれを支持する内容であり,UCと診断した.同日より水溶性プレドニゾロン40mgを開始したところ,速やかに症状は改善し,漸減終了した.プレドニゾロン開始16日目に施行したtotal colonoscopyでは全大腸に渡り粗造粘膜を認め,血管透見消失,易出血性粘膜であった.その後メサラジン1500mg/日,ラモセトロン5μg/日,ラクトミンの内服で経過観察を行ったところ,現在まで寛解が得られている.【結語】直腸癌術後,入院中に発症したUCを経験した.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 直腸癌