セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 01:

食道扁平上皮癌内腺癌に対しNBI拡大内視鏡を施行した1例

演者 山秋 司(金沢医科大学 消化器内科)
共同演者 中村 正克(金沢医科大学 消化器内科), 白枝 久和(金沢医科大学 消化器内科), 土島 睦(金沢医科大学 消化器内科), 利國 信行(金沢医科大学 消化器内科), 尾崎 一晶(金沢医科大学 消化器内科), 福村 敦(金沢医科大学 消化器内科), 大塚 俊美(金沢医科大学 消化器内科), 林 伸彦(金沢医科大学 消化器内科), 福山 智基(金沢医科大学 消化器内科), 齋藤 隆(金沢医科大学 消化器内科), 松永 和大(金沢医科大学 消化器内科), 林 蘭仁(金沢医科大学 消化器内科), 野村 友映(金沢医科大学 消化器内科), 山田 英人(金沢医科大学 消化器内科), 松江 泰弘(金沢医科大学 消化器内科), 湊 貴浩(金沢医科大学 消化器内科), 堤 幹宏(金沢医科大学 消化器内科), 有沢 富康(金沢医科大学 消化器内科)
抄録 【症例】患者は64歳男性、近医にて胸部中部食道に腫瘍を指摘され生検にて扁平上皮癌と診断、精査目的にて紹介となった。入院後食道造影検査にて、胸部中部食道から下部食道にかけて細井らの分類で平皿状陥凹と楔状陥凹の変化を認めた為M3-SM1浸潤を疑う所見と考えた。上部消化管内視鏡検査では胸部中部食道に隆起性病変を認め口側に拡がる亜全周性の塑造粘膜を認めた。隆起性病変はIIa様隆起性病変を5時方向と10時方向の2ヶ所に認め、ヨード染色では不染帯として認めた。NBI拡大内視鏡では10時方向のICPLは井上分類でのTypeV2-3でありM2-M3浸潤と考えた。5時方向の病変はType-VN様でありSM浸潤を疑わせるIPCLに見えたが、通常認めるVNの血管径より細く整で高密度の微小血管同士が連結するfine network patternを示すことから通常のIPCLではなく腺癌の存在を疑った。同部位に対して生検をするとやはり腺癌であり深達度は粘膜内までの病変と考えた。CTでは明らかなリンパ節転移は認めず術前診断ではT1b,N0でStageIと診断し、腹臥位胸腔鏡下胸部食道全摘術とD2リンパ節郭清の手術を施行した。術後病理診断では中分化型扁平上皮癌92%、高分化型腺癌8%であり、深達度M3までの扁平上皮癌内腺癌であった。【考察】食道扁平上皮癌であるIPCL TypeVNでは新生血管の出現により口径不同で比較的太い異常毛細血管が規則性なく走行するのに対し、食道腺癌では異常毛細血管がIPCL VNと比較して細く整で密な連結を認めた。本症例の腺癌存在の診断確定に繋がったものはこのfine network patternであった。【結語】胸部中部食道原発の食道扁平上皮癌内腺癌という稀な症例を経験した。NBI拡大内視鏡を用いることで疾患の特徴的な血管構造を捉える事ができ臨床診断の精度をより正確なものにできると考えた。
索引用語 食道扁平上皮癌内腺癌, NBI拡大観察