セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
36:肝門部胆管癌との鑑別に苦慮したIgG4関連硬化性胆管炎の1例
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演者 |
大坪 公士郎(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター) |
共同演者 |
毛利 久継(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター), 山下 要(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター), 安本 和生(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター), 谷 卓(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター), 矢野 聖二(金沢大学附属病院 がん高度先進治療センター) |
抄録 |
症例は74歳、女性。2011年12月検診で肝障害を指摘され、近医受診。肝門部胆管癌が疑われ、前医に紹介。しかし、病変は肝内U portion, P portionに及んでおり、手術不能と判断された。なお、ERCPでの擦過細胞診は陰性であった。2012年2月当科紹介となり、GEM 1000mg/m2+CDDP 25mg/m2 2週投与1週休薬による全身化学療法を開始した。ところが、経過中に施行したMRCPにて肝内胆管拡張が改善しており、ERCPを施行したところ、上部胆管から肝内胆管外側枝・内側枝合流部及び前枝・後枝合流部より末梢まで不整な狭細像を認めたが、肝門部からの胆管生検では悪性像は認めず、IgG4陽性形質細胞を認めた。また、IDUSでは、非狭窄部の壁肥厚は認めなかった。なお、IgG4は 126mg/dlと明らかな上昇はなく、自己免疫性膵炎の合併も見られなかった。IgG4関連硬化性胆管炎の可能性を考え、PSL 30mg/日を開始したが、その後肝障害は増悪し、ステロイド療法開始4週後のCTでは肝内胆管拡張の再増悪を認めた。胆管像の再評価目的にステロイド療法開始6週後にERCPを施行したところ、胆管狭細像は改善しており、総胆管結石の合併を認めたため、採石術を施行した。その後、ステロイドを漸減中であるが、肝障害、肝内胆管拡張の増悪は認めていない。IgG4関連硬化性胆管炎は2004年Zenらにより最初に報告されたが、自己免疫性膵炎を合併することが多く、その場合には診断は比較的容易と考えられる。しかし、本症例のように、明らかなIgG4の上昇がなく、自己免疫性膵炎の合併も認めない症例では、胆管癌との鑑別に苦慮することが多いと思われる。本症例では、ERCP時に施行した胆管生検にてIgG4関連硬化性胆管炎が疑われ、ステロイド療法にて胆管狭細像の改善を認めた。肝門部胆管癌が疑われる症例の中には、本症例のように自己免疫性膵炎を合併しないIgG4関連硬化性胆管炎が含まれる可能性があり、両者の鑑別が困難な症例では、積極的に胆管生検を施行すべきと考えられた。 |
索引用語 |
IgG4関連硬化性胆管炎, 肝門部胆管癌 |