セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
14:IFX+CAP療法が奏功した高齢者の潰瘍性大腸炎の一例
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演者 |
井ノ口 安紀(恵寿総合病院 消化器内科) |
共同演者 |
野村 能元(恵寿総合病院 消化器内科), 渕崎 宇一郎(恵寿総合病院 消化器内科), 宮森 弘年(恵寿総合病院 消化器内科) |
抄録 |
【はじめに】高齢者は様々な併存疾患を有し、諸臓器の機能低下や免疫機能低下を認めることが多い。潰瘍性大腸炎に対する新規治療薬である免疫抑制剤や生物学的製剤は免疫系に作用し薬効を発揮するが、高齢者に対する安全面や各施設の医療体制における問題があり治療選択に難渋することがある。【症例】83歳女性。約7年前に潰瘍性大腸炎の診断で、PSL内服治療歴あり。その後、5-ASA製剤にて寛解状態も2012年2月頃より血便、下腹部痛あり。前医でPSL15mg/日、5-ASA注腸にて治療されるも症状徐々に悪化し、4月に精査・加療目的に紹介となった。紹介時には臨床的重症度分類にて中等症、左側結腸炎型で内視鏡所見としては、広範な粘膜の脱落、自然出血著明でありMatts分類でGrade4の状態であった。絶食、抗生剤、5-ASA製剤3600mg/日にて加療行い、採血、組織所見上は確診を得なかったが内視鏡的にCMVの感染が疑われたためガンシクロビル投与を行った。また、PSLは15mg/日が約2ヶ月間投与されており、増量する効果とリスクを考慮し漸減を行った。しかし、内視鏡的に改善傾向は認めず徐々に悪化傾向であったためUCの活動性が上昇していると判断し、GCAP療法2回/週を施行。1クール終了時点でも粘膜治癒傾向が不十分であったため2クール目開始とともにIFX 5mg/kgの投与を開始した。同時に結核の既往が完全に否定はできなかったため、予防的にINHの内服も行った。その後は、腹部症状、内視鏡所見ともに改善認め、IFX 3回投与後には寛解状態を認めた。その後、全周性の潰瘍病変であったため高度の狭窄性変化を認めたが、内視鏡的バルーン拡張にて治療を行い、手術を回避することが可能であった。【まとめ】高齢者に発症し治療に苦慮したが、包括的治療にて寛解しえた潰瘍性大腸炎の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, IFX |