セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
29:C型慢性肝炎に合併した高齢者肝悪性リンパ腫の1例
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演者 |
小栗 光(厚生連滑川病院 内科) |
共同演者 |
鹿熊 一人(厚生連滑川病院 放射線科), 小坂 一斗(金沢大学 放射線科), 常山 幸一(富山大学 病理診断学) |
抄録 |
【症例】82歳、女性 【主訴】肝腫瘍の精査 【現病歴】高血圧、C型慢性肝炎にて近医通院中、平成24年7月、多発性肝腫瘍を指摘され、精査のため当科紹介、入院となった。【入院後経過】腹部超音波検査では最大径5cmまでの肝両葉に多発する境界明瞭で著明な低エコーを示す腫瘍性病変を認めた。腹部造影CT検査では、肝腫瘍はいずれの相でも周囲肝実質より低吸収を示し、また腫瘍内を血管が偏位なく貫通する所見を認めた。MRI検査ではT1強調像では低信号、T2強調像では高信号で、拡散強調像では著明な高信号を示した。ガリウムスキャンでは肝腫瘍に一致した集積を認めた。腫瘍マーカーはAFP、PIVAKA-II、CEA、CA19-9はいずれも基準値内であった。C型慢性肝炎に合併した肝腫瘍であったが、肝細胞癌としては画像診断上非典型的であり、上下部消化管内視鏡検査、全身CT検査では明らかな原発巣は認めず、転移性肝腫瘍も否定的であった。診断確定のためエコーガイド下肝腫瘍生検を施行した。H-E染色上、核の濃染腫大、不整を示す腫瘍細胞の増殖を認めたが、細胞間の結合性に乏しく、特定の配列パターンを示さず、低分化癌や悪性リンパ腫が疑われた。免疫染色ではAE1/3、CK7、CK20の上皮性マーカーは陰性で、LCA陽性であり悪性リンパ腫が疑われた。CD20、CD79aは弱陽性でCD3は陰性であり、B細胞性悪性リンパ腫と診断した。高齢であることを考慮し、低用量のCHOP化学療法を行っているが、2クール終了現在、肝腫瘍は縮小しており、大きな有害事象は認めず治療継続中である。【考察】慢性ウイルス性肝疾患に合併する肝悪性腫瘍の多くは肝細胞癌であるが、まれではあるが肝悪性リンパ腫も慢性ウイルス性肝疾患に高率に合併することが指摘されており、肝細胞癌としては非典型的な肝腫瘍を合併した場合には悪性リンパ腫も念頭に置く必要があると考えられた。また80歳以上の高齢者悪性リンパ腫に対する治療についてのエビデンスは少ないが、低用量の化学療法の有効性、安全性が報告されており、80歳以上の高齢者においても治療を検討するべきものと考えられた。 |
索引用語 |
肝悪性リンパ腫, C型慢性肝炎 |