セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 15:

難治性潰瘍性大腸炎症例に対するインフリキシマブの有効性と安全性の後方視的検討

演者 高木 宏明(富山大学 第三内科講座)
共同演者 三原 弘(富山大学 第三内科講座), 西川 潤(富山大学 第三内科講座), 宮嵜 孝子(富山大学 第三内科講座), 藤浪 斗(富山大学 第三内科講座), 細川 歩(富山大学 第三内科講座), 大澤 幸治(高岡市民病院 消化器内科), 芳尾 幸松(高岡市民病院 消化器内科), 七澤 洋(高岡市民病院 地域医療部), 杉山 敏郎(富山大学 第三内科講座)
抄録 背景・目的:本邦では、インフリキシマブ(IFX)が、2010年6月に、潰瘍性大腸炎に適応追加となったが、まだ承認されて時間がたっていないため、一般臨床における有効性及び安全性についての検討が不十分である。今回、一般臨床における難治性(ステロイド依存もしくは抵抗性)潰瘍性大腸炎患者へのIFX投与の有効性および安全性を後方視的に検討した。対象・方法:2007年3月から2012年8月まで富山大学附属病院と高岡市民病院においてIFXを導入した難治性潰瘍性大腸炎症例を対象とした。IFXは、添付文章通り、5 mg/kg量を、0週目、2週目、6週目に投与後、以後8週毎に投与した。初回投与から8週後、30週後のMayo score、ステロイド中断率、有害事象を評価した。臨床的反応、臨床的寛解は、それぞれ、partial Mayo scoreでの3点以上減少、2点以下とした。有害事象はCTCAEv4.0で評価した。結果:解析対象は13例。患者背景は、男性/女性 7例/6例、年齢中央値 43歳(範囲, 16-74))であった。体重、罹病期間、Mayo score、CRPの中央値はそれぞれ、61kg、5年(0.3-26)、9点(3-11)、0.25mg/dl(0.01-2.36)であった。左側結腸炎型が38%、全大腸炎型が62%であった。併用薬はステロイド(92%)、5-ASA(100%)、アザチオプリン(23%)であった。8週、30週時点での臨床的反応は、33%、56%であり、8週、30週時点での臨床的寛解は、41%、33%であった。ステロイドの中断が可能であったのは、8週時点で、27%、30週時点で63%であった。有害事象は、Grade2以下の皮膚症状(蕁麻疹、尋常性ざ瘡)を23%、Grage1の手のしびれを8%(1例)に認め、8%(1例)でG2の投与時血圧低下を繰り返すため投与中断となったが、重篤な感染症はみられなかった。結論:一般診療においてIFXは安全に投与されており、難治性潰瘍性大腸炎症例の半数以上で臨床的反応が得られ、ステロイドの中断が可能であった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, インフリキシマブ