セッション情報 一般演題

タイトル 47:

動脈塞栓術にて治療し得た, 左胃大網動脈瘤破裂の1例

演者 岸本 佳子(戸田中央総合病院 消化器内科)
共同演者 市村 茂輝(戸田中央総合病院 消化器内科), 古賀 幹教(戸田中央総合病院 消化器内科), 梅田 純子(戸田中央総合病院 消化器内科), 羽山 弥毅(戸田中央総合病院 消化器内科), 山田 昌彦(戸田中央総合病院 消化器内科), 原田 容治(戸田中央総合病院 消化器内科)
抄録 動脈塞栓術にて治療し得た, 左胃大網動脈瘤破裂の1例【はじめに】左胃大網動脈瘤は稀な疾患であり, 破裂例では外科的手術となる例が多い. 今回,腹部血管造影下CTで診断し, 動脈塞栓術で治療し得た,左胃大網動脈瘤破裂の1例を経験した.【症例】60歳, 女性.  【既往歴】特記すべきことなし.【現病歴,経過】自転車で転倒後, 腹痛を認め救急外来受診し, 便秘の診断にて帰宅. 1週間後に再度腹痛, 嘔吐あり来院. 来院時,血圧114/81mmHg, HR 60回/分, SpO2 99%, 体温35.7℃. 腹部は左中腹部から左側腹部にかけて緊満,圧痛, 反跳痛を認めた. 採血ではWBC 4050/μl, Hb 6.9g/dl, CRP 6.7mg/dlと貧血, 炎症反応の上昇を認めた. 腹部造影CT検査では, 横隔膜下から脾臓周囲に血性を疑う腹水と, 脾門部に13mm大の濃染される腫瘤を認めた. 腹水試験穿刺では,血性腹水を認めたため, 動脈瘤破裂による腹腔内出血が疑われ,診断治療目的にて腹部血管造影下CTを施行した. 脾動脈(SPA)からの造影下CTで左胃大網動脈(LGEA)に13mm大の動脈瘤を認め, 明らかな造影剤の血管外漏出は不明だったが, 腹腔内出血は動脈瘤破裂によるものと診断.マイクロカテーテルをSPAからLGEAに挿入し,金属コイルにて塞栓術を施行した. 動脈塞栓術後,腹痛は軽快し, 貧血の進行もなく,1週間後の腹部造影CTで血性腹水は減少を認め, 経過良好で第15病日に退院となった. 退院後の腹部造影CTでも再出血は認めていない.【考察】左胃大網動脈瘤は稀で, そのほとんどが破裂を契機に診断され,動脈硬化や外傷が原因となる.本例は外傷が原因と考えられるが, 破裂例の多くは外科的手術が行われている.本例はSPAよりLGEAにマイクロカテーテルの挿入が可能であり, また脾動脈から動脈瘤までの距離があり,脾動脈自体の塞栓は避けられると考え,金属コイルによる塞栓術を行い, 止血が得られた. 左胃大網動脈瘤破裂は,血管造影検査にて診断が可能で, 動脈塞栓術が速やかに行えれば, 有用な治療法となり得ると思われる.
索引用語 左胃大綱動脈瘤破裂, 腹腔内出血