セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 30:肝生検にて診断しえた肝硬化性血管腫の一例 |
演者 | 澤崎 拓郎(厚生連高岡病院 消化器科) |
共同演者 | 蓮本 祐史(厚生連高岡病院 消化器科), 本藤 有智(厚生連高岡病院 消化器科), 小川 浩平(厚生連高岡病院 消化器科), 国谷 等(厚生連高岡病院 消化器科), 西田 泰之(厚生連高岡病院 消化器科), 平井 信行(厚生連高岡病院 消化器科), 寺田 光宏(厚生連高岡病院 消化器科), 野畠 浩司(厚生連高岡病院 放射線科), 北川 清秀(厚生連高岡病院 放射線科), 向 宗徳(厚生連高岡病院 病理科), 常山 幸一(富山大学大学院医学薬学研究部病理診断学講座) |
抄録 | 症例は62歳女性。4年前に健康診断にて高血圧を指摘されていたが放置していた。1週間ほど前より視力障害を自覚し近医を受診、高血圧を指摘され降圧薬が開始となったが改善に乏しいため当院内科紹介となった。副腎腫瘍除外目的で施行した腹部単純CTにて肝S7にSOLを指摘され当科受診、造影CTでは動脈相で辺縁のみ淡く濃染され、平衡相では低吸収を呈し胆管細胞癌や転移性肝癌を疑う所見であった。HBs抗原陰性・HCV抗体陰性で、各種腫瘍マーカーも陰性であった。MRIでは早期に辺縁部の層状の濃染・内部の島状の濃染を認め、後期相・肝細胞相でも不均一に濃染が持続する所見を呈していた。この時点で変性血管腫の可能性も考えられた。腹部血管造影ではCTHA早期にて辺縁が濃染し、後期相で徐々に内部が造影されるパターンを呈し繊維成分の豊富な組織が想定された。ここまでの各種画像検査では確定診断に至らず、肝腫瘍生検を行った。一部に胆管・神経を含む門脈域と思われる線維組織が見られ、その他はほとんどが腫瘍成分で、好酸性物質が全体に沈着し、小血管が介在していた。上皮性を示唆する構造は乏しく、血管内皮細胞は異型に乏しく積極的に悪性を示唆する所見は認めなかった。免疫染色でもケラチン・EMA陽性像は確認できず、また、CD34陽性の血管内皮はMIB-1陰性であり増殖性変化も指摘されなかった。以上より器質化した血管腫が最も疑われ硬化性血管腫と診断した。 肝臓の硬化性血管腫は線維化や硝子化などの退行性変化が血管腫全体に及んだもので、頻度としてはまれで、胆管細胞癌・転移性肝癌などの一部の悪性腫瘍との鑑別が困難である。今回、肝生検にて確定診断に至った1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 血管腫, 肝腫瘍 |