セッション情報 一般演題

タイトル 06:

HER2陽性胃癌3例の検討

演者 大井 章史(金沢大学 医学部 分子細胞病理学DELIMITER公立加賀中央病院)
共同演者
抄録 2009年の第45回米国臨床腫瘍学会年次学術集会(The American Society of Clinical Oncology)ではヒト化抗HER2モノクローナル抗体Trastuzumab をHER2陽性胃癌に用いたphase III臨床試験の結果(ToGA試験)が発表され、その延命効果が証明された。我が国では、2011 年に3月に「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する治療薬として承認されている。 HER2遺伝子の増幅とHER2蛋白の過剰発現をしめす癌細胞は胃癌の約10% にみとめられる。我々の過去1年間に経験した3例のいわゆる「HER2陽性胃癌」を提示する。症例1:Stage IIIのBorrmann 3癌の周堤に広がるadenocarcinoma in situに限局してHER2遺伝子の増幅をみとめた。浸潤癌の部分にはHER2増幅はみられなかった。症例2:Stage IIのBorrmann 3癌で固有筋層に浸潤するtub2にHER2遺伝子の増幅をみとめた。症例3: Stage IV 胃癌で、胃粘膜生検および肝転移巣の楔状切除組織でHER2遺伝子の増幅をみとめた。Trastuzumabの治療を開始したが、奏効は得られなかった。  「HER2陽性胃癌」は免疫染色、fluorescence in situ hybridization,さらにはmulple ligation- dependent probe amplification 法などで比較的容易に検出されるようになった。治療を行う上での問題点のひとつは、HER2遺伝子の増幅のheterogeneity である。適応のある症例を正しく選択して、ToGA試験に続く臨床報告第2報が待たれる。
索引用語 HER2, 胃癌