セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 46:

インフリキシマブ療法中に大動脈炎症候群を発症したクローン病の1例

演者 中島 崇志(石川県立中央病院 消化器内科)
共同演者 辻 重継(石川県立中央病院 消化器内科), 竹田  康人(石川県立中央病院 消化器内科), 朝日向  良朗(石川県立中央病院 消化器内科), 木藤  陽介(石川県立中央病院 消化器内科), 伊藤  錬磨(石川県立中央病院 消化器内科), 中西  宏佳(石川県立中央病院 消化器内科), 林 智之(石川県立中央病院 消化器内科), 稲垣  聡子(石川県立中央病院 消化器内科), 吉田  尚弘(石川県立中央病院 消化器内科), 早稲田  洋平(石川県立中央病院 消化器内科), 竹村  健一(石川県立中央病院 消化器内科), 山田  真也(石川県立中央病院 消化器内科), 岡田  俊英(石川県立中央病院 総合診療科), 土山  寿志(石川県立中央病院 消化器内科)
抄録 症例は30歳の男性。2011年2月に腹痛を主訴に当科を初回受診し、下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に縦走潰瘍を認め、回盲部は敷石像を呈し狭窄を来たしていた。同部位からの生検にて肉芽腫形成もみられ、クローン病と診断した。その時点では外科的治療は希望されず、メサラジンとインフリキシマブ(5mg/kg)による加療を開始した。2012年1月に腸閉塞を発症し、消化管造影検査にて回腸末端に約5cmにわたる狭窄を認めており、同年2月に腹腔鏡下回盲部切除術が施行された。以後、インフリキシマブを10mg/kgに増量し維持療法を継続したが、3月上旬より発熱および背部痛が出現し、炎症反応の高値が持続した。腹部症状もなく、腹部CT検査および下部消化管内視鏡検査においてクローン病の活動性を示す所見は乏しく、腹部CT検査および腹部MRI検査にて上腸間膜動脈炎に合致する血管壁の肥厚と濃染を認めた。FDG-PET/CT検査にて大動脈弓壁、左右内頚動脈壁近位、下行大動脈内側壁に異常集積を認め、大動脈炎症候群と診断した。プレドニゾロン投与により、発熱や背部痛は速やかに消失し、炎症反応も陰性化し、現在プレドニゾロンを漸減中であるが病状の再燃は認めていない。クローン病および大動脈炎症候群はいずれも自己免疫性機序による疾患であり、近年、免疫抑制薬抵抗性の大動脈炎症候群におけるインフリキシマブの有効性が示されつつある。しかし、インフリキシマブ療法中の炎症性腸疾患に大動脈炎症候群を合併した報告は稀であり、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 クローン病, 大動脈炎症候群