セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 40:

IPMNs由来anaplastic carcinomaの1切除例

演者 水永 妙(福井大学医学部附属病院臨床研修医)
共同演者 村上 真(福井大学医学部第一外科), 森川 充洋(福井大学医学部第一外科), 小練 研司(福井大学医学部第一外科), 廣野 靖夫(福井大学医学部第一外科), 五井 孝憲(福井大学医学部第一外科), 飯田 敦(福井大学医学部第一外科), 片山 寛次(福井大学医学部がん診療推進センター), 山口 明夫(福井大学医学部第一外科), 伊藤 浩史(福井大学医学部腫瘍病理学(病理学(1)))
抄録 膵のanaplastic carcinomaは稀であるが、今回組織学的にIPMN由来と考えられる症例を経験したので報告する。
症例は50歳代女性。右下腹部痛を主訴に近医を受診し、CT検査で後腹膜腫瘍を疑われ当院消化器内科に紹介となった。
入院時血液検査では中等度の鉄欠乏性貧血を認め、腫瘍マーカーではCA19-9が478IU/Lと上昇していた。肝胆道系酵素の上昇は認めなかった。上部内視鏡検査で、腫瘍は十二指腸上行脚に穿破し、生検で肉腫様組織を認めた。CTとMRI検査で、膵頭部から鉤部の背側と下大静脈の間に57×46mm大の腫瘤を認め、内部に出血と壊死を伴い、十二指腸に浸潤していた。明らかな遠隔転移やリンパ節腫大は認めなかった。FDG-PETでは腫瘍に一致してSUVmax16と強い集積を認め、MIBGシンチでは集積を認めなかった。
後腹膜腫瘍(肉腫)もしくは非典型的な膵頭部癌を疑い、手術を施行した。腫瘍は、膵臓の背側に厚い被膜に包まれ弾性軟であった。十二指腸と膵臓に浸潤しており、膵腰部腫瘍と判断し幽門輪温存膵頭十二指腸切除、D2郭清を施行した。
病理組織検査では、腫瘍は嚢胞形成と著明な出血を伴い、嚢胞壁は高分化の粘液上皮に覆われ、充実性部分は著明な核異型や巨核、多核の強い腫瘍細胞が増殖し、その移行部も認められた。浸潤性の乳頭線癌や粘液肉腫様の部分も混在していた。直接浸潤部以外は厚い結合組織に被包化されており根治的に切除された。最終診断は、Anaplastic carcinoma ( Giant cell type) derived from IPMN, N1, M0 Stage IIIと診断された。
本症例は、主膵管の拡張はなく腫瘍の首座からも分枝膵管型で粘液非高産生性のIPMNs由来のAnaplastic carcinomaと考えられた。Anaplastic carcinomaは一般的に予後不良とされ、本症例もGEMを用いた化学療法を行っているが術後4か月で肝転移を認めている。
索引用語 IPMN, anaplastic carcinoma