セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 12:

カプセル内視鏡検査で小腸病変の観察を行ったアレルギー性紫斑病の2例

演者 濱本 愛子(福井大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 大谷 昌弘(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 有塚 敦史(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 斎藤 恭志(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 田中 知子(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 野阪 拓人(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 尾崎 嘉彦(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 高橋 和人(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 大野 崇(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 松田 秀岳(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 根本 朋幸(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 須藤 弘之(福井大学医学部附属病院 消化器内科), 中本 安成(福井大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 【症例1】53歳女性。主訴は下血と左下腹部痛。両下肢の紫斑で当院皮膚科を受診し、アレルギー性紫斑病を疑われて経過観察されていた。紫斑発症28日後に下血と左下腹部痛が出現したため、当科を紹介受診した。第XIII因子は46%と低下していた。上部消化管内視鏡検査(EGD)では胃、十二指腸に粘膜発赤が散在し、下部消化管内視鏡検査(TCS)では横行結腸からS状結腸を中心として全大腸に多数の小環状及び斑状の粘膜発赤が認められた。カプセル内視鏡検査(VCE)では小腸に数個のびらんを認めるのみであった。入院後は下血と腹痛は軽快傾向にあったが、経口摂取を再開したところ再び下血を認め、また紫斑の改善も乏しいためPSL20mg/dayを開始したところ軽快した。【症例2】41歳男性。主訴は上腹部痛。両下肢に紫斑を認めアレルギー性紫斑病の診断で当院皮膚科入院中であった。紫斑発症7日後に上腹部痛を訴えたため当科を紹介受診した。第XIII因子は82%と保たれていた。EGDでは胃に小環状および斑状の粘膜発赤が散在し、十二指腸球部前壁に多発する粘膜発赤と下行脚に地図状潰瘍を認めた。TCSでは全大腸に散在する小さな粘膜発赤を認めた。VCEでは回腸中心に多発するびらんや粘膜発赤を認め、特に回腸末端では潰瘍が多発していた。腹部症状に対してPSL60mg/dayを開始したところ、症状は軽快した。【考察】一般にアレルギー性紫斑病患者の約80%に消化管病変が存在すると報告されている。カプセル内視鏡で小腸を観察した報告は多くはなく、その消化管病変の病態は十分に検討されてはいない。症例1では結腸を主座としているのに対して、症例2では十二指腸・小腸を中心に病変が認められた。カプセル内視鏡検査は非侵襲的にアレルギー性紫斑病の消化管病変の罹患範囲や病勢を把握するために有用と考えられ、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 アレルギー性紫斑病, カプセル内視鏡