セッション情報 一般演題

タイトル 44:

壊死性膵炎を呈しtype2 AIPが疑われた1例

演者 内藤 慶英(福井県立病院 消化器内科)
共同演者 波佐谷 兼慶(福井県立病院 消化器内科), 鳥居 志充(福井県立病院 消化器内科), 西山  悟(福井県立病院 消化器内科), 藤永  晴夫(福井県立病院 消化器内科), 林  宣明(福井県立病院 消化器内科), 青柳  裕之(福井県立病院 消化器内科), 辰巳  靖(福井県立病院 消化器内科), 伊部  直之(福井県立病院 消化器内科)
抄録 症例は28歳の女性。2011年12月より1日10行の水様下痢、血便を認めていた。2012年4月より近医にて腸炎として内服処方を受けていたが改善なく、7月上旬当院紹介となる。下部消化管内視鏡検査にて左半結腸型潰瘍性大腸炎と診断し5ASA製剤を開始。下痢症状は一旦改善認めたが、7月下旬再び増悪みられ入院となった。絶食輸液にて多少の改善は認めたが、1日10行の下痢、血便も持続したため顆粒球除去療法を予定していた。しかし、第8病日に突然の強い腹痛と背部痛が出現したため腹部造影CT施行。膵のびまん性腫大と両腎の巣状の低吸収域を認めた。症状は一旦軽快したが、その後再び出現。翌日の腹部造影MRIにて、膵体尾部に造影不良域が出現し、壊死性膵炎(CT grade2)と診断された。同日より膵動注治療を開始した。また画像から自己免疫性膵炎が強く疑われたためPSL60mgの投与も開始した。その後は症状、炎症反応の改善を認めステロイドの漸減を行ったが症状の再燃を認めなった。IgG4は正常範囲であり膵組織診断は行っていないが、2型自己免疫性膵炎(type2 AIP)が強く疑われた。type2 AIPでは、IgG4は正常であることが多く、若年に多く、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の合併が多いとされる。ステロイドの使用に関しては明確なエビデンスがないが、本例では膵動注とステロイド投与によって改善を認めた。type2 AIPは本邦ではまだ報告が少なく、本例のような壊死性膵炎を呈したものは報告がなく、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 壊死性膵炎