セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
16:メサラジンアレルギーを認めた潰瘍性大腸炎の1例
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演者 |
山田 和俊(加登病院 消化器内科) |
共同演者 |
加賀谷 尚史(金沢大学附属病院 消化器内科), 加登 康洋(加登病院 消化器内科) |
抄録 |
【背景】メサラジン製剤は,軽症から中等症の潰瘍性大腸炎に対する第一選択薬として,寛解導入療法として使われ,その後の寛解維持療法においても中心となる薬剤である.しかし,時に副作用により高熱や消化器症状の増悪を認め,病勢の悪化と間違えられることがあるため注意が必要である.今回我々はpH依存性メサラジン放出調節製剤を開始後に高熱,炎症反応の増加を認めた症例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する.【症例】症例は40歳代女性.2012年4月ごろより下血,下痢を認め当院受診.大腸内視鏡検査により,潰瘍性大腸炎・全大腸型と診断した.4月18日よりpH依存性メサラジン放出調節製剤3600mg/dayでの加療を行った.内服開始2日後より下痢・下血といった症状は改善したが,5月5日ごろより再度下痢が出現し,38℃台の高熱,全身の筋肉痛,胸痛を認めるようになった.胸部X-p,心電図では明らかな異常は認めなかったが,血液検査ではWBC 12800/μl,CRP 24.87mg/dlと炎症反応が著増しており,精査加療目的に再入院となった.S状結腸内視鏡検査では直腸・S状結腸の粘膜所見は薬剤投与前と比べ増悪はなく,CTでは膿瘍の合併等も否定的であったため,メサラジンによる薬剤アレルギーが疑われ同薬剤を中止した.細菌感染症も否定できなかったため,CTRX 2g/dayを投与も開始し経過をみたところ,薬剤中止2日後より解熱と全身の筋肉痛,胸痛の消失を認め,CRPも改善した.各種培養検査結果は陰性であり,メサラジンに対するDLSTが陽性であったことから,同薬剤による副作用と判断した.潰瘍性大腸炎に対しては5月15日よりPSL20mg/dayによる加療を行ったところ速やかに症状の改善を認めた.PSLはその後漸減し現在2.5mg/dayまで減量しているが,症状は消失し内視鏡的にも寛解が得られている. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, メサラジン |