セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 08:癌性髄膜炎を合併した残胃癌の一例 |
演者 | 稲邑 克久(市立砺波総合病院 消化器科) |
共同演者 | 高田 佳子(市立砺波総合病院 消化器科), 岡村 利之(市立砺波総合病院 消化器科), 川口 和紀(市立砺波総合病院 消化器科), 河合 博志(市立砺波総合病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】71歳男性【主訴】頭痛、食欲不振【既往歴】15歳時十二指腸潰瘍にて胃切除(B2再建)【現病歴及び臨床経過】糖尿病にて近医通院中であった。1カ月前から頭痛、食欲不振があり平成24年6月に当院紹介となった。採血ではコントロール不良な糖尿病とC型慢性肝炎を指摘された。上部消化管内視鏡を施行したところ吻合部に壁外性圧迫様変化による狭窄及びそぞう粘膜を認めた。深部浸潤を来たした吻合部残胃癌が疑われ精査加療目的に入院となった。生検結果は低分化腺癌class5で残胃癌と確定診断された。胸腹部造影CTにては吻合部に一致して腫瘍性病変を認めたが、明らかなリンパ節腫大や遠隔転移は認めなかった。手術を前提に精査を進めていたが、頭痛が持続した。頭部単純CTにては異常は認められなかったが、身体所見にて項部硬直を認め何らかの髄膜炎が疑われ、腰椎穿刺を施行したところ、外観はキサントクロミーで、髄液蛋白濃度の上昇を認め、細胞診class3と異型細胞が検出されたことから癌性髄膜炎と診断された。頭部―脊椎MRIにては髄膜に一致して播種を疑う散在性の肥厚性変化を認め癌性髄膜炎に矛盾しない所見が得られた。残胃癌以外に癌性髄膜炎を疑う病変は認めず、残胃癌による癌性髄膜炎と診断された。治療として癌性髄膜炎を優先し、Methotrexate20mg Cytarabine15mg Prednisolon20mgのone shot髄注治療を週1回開始した。しかし頭痛は持続し、失見当識の出現、活動性や筋力低下による寝たきり傾向及び誤嚥性肺炎の発症など、癌性髄膜炎による自他覚症状は悪化傾向であった。髄注治療を計3回施行したところで無効と判断し緩和ケアに移行した。その後病状は悪化し診断後約7週間後に永眠された。 癌性髄膜炎は極めて予後不良でまた標準治療が確立していない。胃癌ではまれであるが、近年報告数が増加傾向にあり注意を要する。若干の文献的考察も含めて報告する。 |
索引用語 | 癌性髄膜炎, 胃癌 |