セッション情報 |
一般演題(専修医(卒後3-5年))
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タイトル |
32:健常男性に発症した多発性アメーバ性肝膿瘍の一例
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演者 |
大石 岳(国民健康保険 小松市民病院 消化器内科) |
共同演者 |
吉光 雅志(国民健康保険 小松市民病院 消化器内科), 後藤 善則(国民健康保険 小松市民病院 消化器内科), 又野 豊(国民健康保険 小松市民病院 消化器内科), 亀田 正二(国民健康保険 小松市民病院 消化器内科) |
抄録 |
症例は36歳、男性。2012年5月中旬より約1週間にわたり持続する発熱・食欲不振・右上腹部痛を主訴に他院を受診された。炎症反応高値(WBC 16000/μl、CRP 20mg/dl)及び、腹部CTで肝両葉にわたり多発する低吸収域(計5箇所)を認め、多発性肝膿瘍と診断された。同院に入院され、6日間の抗生剤点滴(CPZ/SBT、DRPM、PFFX)を施行されたが改善せず、精査・加療目的に当科に入院となった。4箇所の膿瘍に緊急PTCDを行い粘稠な赤褐色の膿汁が排泄された。残りの1箇所の膿瘍はS8にあり、隣接している膿瘍と交通していると考え、PTCDを行わなかった。PTCD後、抗生剤点滴(CPZ/SBT 4g/日)にて加療を継続したが、排液は少なく、腫瘍の縮小もさほど得られず、PTCD未施行の膿瘍は増大傾向にあった。膿培養は陰性で虫体、嚢子を認めなかった。大腸内視鏡検査を施行したが、アメーバ性腸炎に特異的な所見は認めず、組織診断でも赤痢アメーバを認めなかった。しかし来院時の血清アメーバ抗体が陽性であり多発性アメーバ性肝膿瘍と診断した。すぐさまMNZ 1500mg/日の投与を行ったところ、膿瘍は著明に縮小し速やかに炎症反応も消失した。同性愛者でなく、HIV抗体陰性の健常な成人男性に多発性アメーバ性肝膿瘍が出現し、診断に苦慮した一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
赤痢アメーバ, 肝膿瘍 |