セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 38:

胆嚢管原発の胆管内乳頭腫瘍(IPNB)の1例

演者 松井 大輔(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 牧野 勇(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 岡本 浩一(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 古河 浩之(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 中村 慶史(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 井口 雅史(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大学附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科DELIMITER金沢大学附属病院 病理部), 池田 博子(金沢大学附属病院 病理部), 田中 章浩(金沢大学附属病院 消化器内科1), 北村 和哉(金沢大学附属病院 消化器内科1)
抄録 症例は66歳女性.関節リウマチのため内科通院加療中であった。経過中に肝障害の増悪を認めたため、腹部造影CTを施行したところ、胆嚢管に腫瘤性病変を指摘され、精査加療目的に当科紹介となった。腹部CT・MRIでは、胆嚢管に紡錘状の腫瘤形成を認め、上腸間膜動脈より分岐した肝動脈後枝に接しており浸潤が疑われた。EUSでは、腫瘍の大部分は胆嚢管内に限局していたが、1ヶ所で漿膜下層への進展を疑う部分を認め、同部位で肝動脈後枝への浸潤が疑われた。以上より、胆嚢管癌・肝動脈後枝浸潤と診断し、外科切除を施行した。術中所見では、肉眼的に腫瘍の漿膜面への明らかな露出はなく、浸潤が疑われていた肝動脈後枝は、腫瘍近傍と剥離せず合併切除した。肝動脈前枝は腫瘍に近接していたが、腫瘍を露出することなく剥離可能であった。胆嚢摘出・肝外胆管切除を施行し、切除後のドップラー超音波で肝右葉後区域の動脈血流を確認した。術後合併症は認めなかった.病理組織学的には、腫瘍の大部分が胆嚢管の粘膜層に限局して発育する乳頭状腫瘍で、胆嚢管原発IPNB (intraductal papillary neoplasm of bile duct) の診断であり、肝動脈後枝に近接する部位にわずかに線維筋層に至る浸潤部を認めたが,漿膜下層への浸潤は認めず,切除断端は陰性であった。胆嚢管癌は,進展範囲に応じて異なる術式が適応されるため,術前の進展度診断が極めて重要である.今回は,胆嚢管原発IPMNという比較的まれな腫瘍であったが,詳細な術前検索により適切な切除が行えたものと思われる.特にEUSによる局所進展診断が有用であったと考えられた.当科で経験した胆嚢管原発のIPNBの術前画像診断・病理組織学的特徴を中心に報告する。
索引用語 IPNB, 胆嚢管癌