セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 21:

経過中に両側卵巣切除を施行したstageIVの大腸癌の1例

演者 禿 晃仁(富山大学 内科学 第3講座)
共同演者 安藤 孝将(富山大学 内科学 第3講座), 細川 歩(富山大学 内科学 第3講座), 南條 宗八(富山大学 内科学 第3講座), 吉田 啓紀(富山大学 内科学 第3講座), 植田 亮(富山大学 内科学 第3講座), 三原 弘(富山大学 内科学 第3講座), 藤浪 斗(富山大学 内科学 第3講座), 梶浦 新也(富山大学 内科学 第3講座), 西川 潤(富山大学 内科学 第3講座), 小川 浩平(富山大学 内科学 第3講座), 橋本 佳子(富山大学 産婦人科), 中島 彰(富山大学 産婦人科), 齋藤 滋(富山大学 産婦人科), 杉山 敏郎(富山大学 内科学 第3講座)
抄録 【症例】69歳 女性 【現病歴】当院受診の1か月前から下腹部違和感を認めていた。受診前日に下腹部痛を増強したため、当院を紹介受診となった。【入院時現症】血圧109/54mmHg、脈拍60/分、体温35.6℃。結膜に貧血、黄疸なし。下腹部正中に圧痛を伴う腫瘤を4横指触知した。血液検査所見では、軽度の炎症反応を認め、CEA 83.0ng/ml、CA125 73IU/mlと腫瘍マーカーが上昇していた。腹部造影CT検査では、回盲部の壁が肥厚しており、周囲には播種結節を伴っていた。また、右卵巣に径10cmの多房性の腫瘤性病変と腹部大動脈周囲リンパ節腫大も認めた。下部消化管内視鏡検査で盲腸に3/4周性の2型腫瘍を認め、高分化型腺癌と診断された。以上より、盲腸癌、リンパ節、卵巣転移と診断した。【入院後経過】腹痛は卵巣腫大が原因と判断し、鎮痛剤を投与したところ速やかに消失した。大腸癌に対しては、初回治療として全身化学療法が適切と判断し、modified FOLFOX6療法を開始して退院となった。腫瘍縮小効果はSDと判断されたが、10コース施行後の効果判定で両側卵巣腫瘍の明らかな増大を認めた。二次治療として、臨床試験に同意頂き、S-1+irinotecan+cetuximab療法を開始したが、1コース施行後に再び両側卵巣腫瘍の急激な増大による下腹部痛が出現し、不応と判断された。卵巣以外の病変は良好にコントロールされていることが確認されたため、症状緩和目的に両側付属器切除術を施行した。術後、腹痛の出現はなく、現在も化学療法を継続中である。【結語】両側卵巣転移を伴うstageIVの大腸癌の1例を経験した。消化器癌の卵巣転移巣に対しては、他の転移巣と比較して化学療法の奏効率が低いとの報告もあり、経過中に切除を検討すべき症例があると考えられた。
索引用語 大腸癌, 卵巣転移