セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 33:肝動脈塞栓術と肝切除術にて救命し得た肝内動脈瘤破裂の一例 |
演者 | 羽柴 智美(金沢医療センター 消化器科) |
共同演者 | 吉田 真理子(金沢医療センター 消化器科), 矢野 正明(金沢医療センター 消化器科), 丹尾 幸樹(金沢医療センター 消化器科), 丸川 洋平(金沢医療センター 消化器科), 太田 肇(金沢医療センター 消化器科), 大西 一郎(同外科), 萱原 正都(同外科), 牧田 伸三(同放射線科), 笠島 里美(同臨床検査科), 川島 篤弘(同臨床検査科), 原田 憲一(金沢大学形態機能病理学) |
抄録 | 【症例】40歳代 女性【嗜好歴】飲酒:焼酎4合/日×20年,喫煙:なし【内服薬】エチゾラム,パロキセチン,大黄甘草湯,アスピリン【現病歴】以前より定期的に健康診断を受け,胆道系優位の肝障害を指摘されていた.某年5月中旬に下痢が出現し,一旦軽快するも6月になり再度下痢と倦怠感が出現した.某日,起立時に意識消失し救急搬送となった.搬送後,点滴にて一旦意識は回復するも右季肋部痛は持続していた.血液検査にてHb 12g/dlと貧血はなかったが,血小板減少(Plt 13.7万/μl),肝障害(AST 828IU/l, ALT 94IU/l,ALP 242IU/l,γGTP 75IU/l)を認め,腹部CTにて右葉後区域実質の濃度不均一と肝周囲,ダグラス窩に少量の血性腹水があり,腹腔内出血が疑われ入院となった.【入院後経過】入院後,再度意識消失,心肺停止状態となり蘇生を行った.輸血にて血圧の安定を確認後,肝内出血が原因と判断し血管造影を施行した.肝動脈造影にて右肝動脈に5mm大の動脈瘤を認め,肝動脈塞栓術(TAE)にて一時止血を得た.その後,再出血は認めず全身状態は改善傾向を認めたが,造影CTにて肝動脈瘤の増大と肝動脈末梢に小動脈瘤の多発を認めたため,再度TAEを施行した.その後も肝内に小動脈瘤が多発したため肝右葉切除術の方針となった.肝切除病理では,背景に拡張した動脈と二次的な変化として全体に中心静脈や門脈の拡張など動脈瘤破裂後の変化を認めるのみで,動脈瘤の原因となる肝病変は認めなかった.また,全身精査でも肝動脈瘤の原因は同定できなかった.術後の経過は良好で現時点で肝動脈瘤の再発は認めていない.【考察】肝動脈瘤は腹腔内動脈瘤の約20%,うち肝内動脈瘤は約20%と報告されている.本邦では医中誌で「肝動脈瘤破裂」で検索した限り,1990年~2012年の期間に36例の報告があり,「肝内動脈瘤」での検索では9例のみで,肝切除を行ったのは2例のみであった.また肝動脈瘤の破裂は65%で認め,破裂例の死亡率は約34%と高率であった.【結語】今回我々は,肝内動脈瘤破裂した症例でTAEと肝切除術にて救命し得た稀な一例を経験したので報告する. |
索引用語 | 肝動脈瘤破裂, 肝動脈瘤多発 |