セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 45:長期経過観察中の自己免疫性膵炎の一例 |
演者 | 谷川 明希子(福井赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 原 季衣(福井赤十字病院 消化器科), 三原 美香(福井赤十字病院 消化器科), 松永 心祐(福井赤十字病院 消化器科), 里見 聡子(福井赤十字病院 消化器科), 山崎 幸直(福井赤十字病院 消化器科), 道上 学(福井赤十字病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】60才代 男性 【主訴】顎下部違和感【現病歴】2004年11月頃より無痛性の両側耳下腺腫大を自覚し、2005年1月に当院耳鼻科を受診した際の血液検査で膵酵素上昇を認め、腹部超音波検査で膵頭部に腫瘤性病変を指摘されたため、精査目的に当科受診となった。【既往歴】57才 胆嚢摘出術【検査所見】WBC 9300/μl、Hb 14.6 g/dl、Plt 21.7×104/μl、Na 139 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 102 mEq/l、BUN 13.5 mg/dl、Cr 0.84 mg/dl、AST 30 IU/L、ALT 28 IU/L、AlP 209 IU/L、T-bil 0.71 mg/dl、γ-GTP 93 IU/L、Amy 911 IU/L、Lipase 827 IU/L、IgG 2035 mg/dl、IgG4 940 mg/dl、CA19-9 167 U/ml【臨床経過】採血で血清IgG、IgG4の上昇と腫瘍マーカーの上昇を認め、画像上、膵頭部の腫瘤形成、主膵管の狭小化を認めた。顎下腺からの生検ではリンパ球と形質細胞の浸潤、線維化を認めた。以上より、膵癌の除外は困難であったが、画像所見と慢性顎下腺炎が背景にあることから自己免疫性膵炎を疑い、ステロイドの経口投与を開始した。ステロイド開始以降は採血、画像所見共に改善を認め、ステロイド漸減の後、約1年で内服終了となったが、その約3年後に膵酵素上昇と画像上、IgG4関連硬化性疾患を認めた。自己免疫性膵炎の再燃と考え、再度ステロイド内服を開始し、経過良好であったため維持量投与を行い外来で経過観察を行っていた。以降は内服コンプライアンス不良な状態もあり、一度再燃を認めたが、ステロイドを増量することにより改善が得られ、現在もステロイド維持量投与での経過観察を行っている。【結語】長期経過観察中の自己免疫性膵炎の一例を経験した。本症例では当初ステロイド維持期間が短かったことによる再燃の可能性もあり、今後は維持投与量継続の上、慎重に経過観察を行っていく必要がある。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, IgG4関連疾患 |