セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 35:

診断に苦慮した原発性硬化性胆管炎(PSC)の1例

演者 吉村 隆宏(福井県済生会病院 内科)
共同演者 上田 晃之(福井県済生会病院 内科), 松田 尚登(福井県済生会病院 内科), 真田 拓(福井県済生会病院 内科), 新 浩一(福井県済生会病院 内科), 渡邊 弘之(福井県済生会病院 内科), 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院 内科), 登谷 大修(福井県済生会病院 内科), 田中 延善(福井県済生会病院 内科)
抄録 【症例】60歳代の男性。心筋梗塞に対し冠動脈バイパス術、無石胆嚢炎に対し胆嚢摘出術の既往あり。糖尿病にて当院内科外来通院中であった。外来受診時に実施された定期採血で胆道系酵素の上昇を認め、精査目的に実施した腹部CTならびにMRIにて総胆管腫瘍を疑う所見を認め、肝門部胆管癌が疑われ、精査加療目的に入院した。【入院後経過】入院時身体所見では腹部に手術痕を認める他に特記所見を認めなかった。血液検査ではALT 38 IU/L、AST 51 IU/L、ALP 697 IU/L、γ-GTP 301 IU/Lと胆道系酵素優位の上昇を認めた。またANA、IgG4を初めとした自己抗体は陰性で、腫瘍マーカーではCEA、CA19-9ともに陰性であった。ERC では、肝門部胆管および総胆管を中心に不整な数珠状変化や短い狭窄所見を認めたが、同検査実施の時点では確定診断には至らなかった。ERC時に実施した胆管ブラッシングおよび洗浄細胞診はともに陰性であり、またPETでも異常集積は認めなかった。肝生検にて線維化を伴う慢性非特異性の炎症性変化を胆管に認めており、この結果も含め、原発性硬化性胆管炎(PSC)と診断した。胆嚢摘出術実施前の画像評価時にも肝内胆管拡張を認めており、続発性硬化性胆管炎は認めないものと判断した。診断後の治療では、本例は幸いにもUCDAに対する比較的良好な反応を認めており、現在も外来経過観察中である。【まとめ】PSCは多彩な胆管病変を認める疾患で、鑑別を要し、診断に苦慮することも多い。今回われわれは診断に苦慮したPSCの1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 PSC, 診断