セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 28:肝癌再発に一致してHBs抗原陽転化を繰り返した生体肝移植後の1例 |
演者 | 松川 弘樹(金沢大学附属病院 消化器内科) |
共同演者 | 柿木 嘉平太(金沢大学附属病院 消化器内科), 梶 喜一郎(金沢大学附属病院 消化器内科), 原 泰将(金沢大学附属病院 消化器内科), 田中 章浩(金沢大学附属病院 消化器内科), 北原 征明(金沢大学附属病院 消化器内科), 砂子坂 肇(金沢大学附属病院 消化器内科), 島上 哲朗(金沢大学附属病院 消化器内科), 鷹取 元(金沢大学附属病院 消化器内科), 荒井 邦明(金沢大学附属病院 消化器内科), 北村 和哉(金沢大学附属病院 消化器内科), 山下 太郎(金沢大学附属病院 消化器内科), 加賀谷 尚史(金沢大学附属病院 消化器内科), 酒井 佳夫(金沢大学附属病院 消化器内科), 山下 竜也(金沢大学附属病院 消化器内科), 水腰 英四朗(金沢大学附属病院 消化器内科), 酒井 明人(金沢大学附属病院 消化器内科), 本多 政夫(金沢大学附属病院 消化器内科), 金子 周一(金沢大学附属病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】62歳 男性【既往歴・家族歴】特記事項なし【現病歴】2004年に初めてB型肝硬変、肝細胞癌と診断され、以降治療を繰り返していた。2006年に肝細胞癌再発(最大径1.5cm、10個以上、ミラノ基準逸脱)を認めた際に生体肝移植を希望され、同年4月に息子をドナーとして生体肝移植を施行された。摘出肝の病理診断では脈管浸潤陽性(Vp1、Vv1、Va0)、stage4A(T2N1M0)であった。移植後はタクロリムスを中心とした免疫抑制療法を継続し、肝細胞癌に対して術後補助化学療法(5-FU 2500mg/5日×2週、IFNα-2b 300万単位/週3回×4週 )を2クール施行した。移植後のHBV対策として、抗HBs人免疫グロブリン(HBIG 1000IU/月)およびラミブジンを投与し、HBs抗原陰性、HBs抗体150~600 mIU/mLで維持され、B型肝炎の再燃は認めなかった。しかし、2008年8月に肝細胞癌肺転移が出現し、この際にHBs抗原は陽転しHBs抗体は低値となった。同年10月外科的切除が施行され、HBs抗原は陰性化し、HBs抗体価も回復した。また、2010年1月および2011年9月に肝細胞癌のグラフト肝内転移を認め、ラジオ波焼灼療法(RFA)にて加療を行ったが、この際にも肝細胞癌再発時にHBs抗原の陽転、HBs抗体価の低下が認められ、治療後にはHBs抗原の陰性化とHBs抗体の上昇が認められ、肝細胞癌再発とHBs抗原陽転化との関連が示唆された。全経過でHBV-DNAは検出感度未満で維持され、肝炎の再燃も認められなかった。2012年9月現在、肝細胞癌の再発なく、HBs抗原<0.1COI、HBs抗体価150~350 mIU/mLで推移している。【結語】肝癌再発に一致してHBs抗原が陽転し、治療後に陰性化した興味ある経過をたどった一例を経験した。今回、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 生体肝移植 |