セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 22:

Low-grade appendiceal mucinous neoplasmの1例

演者 武居 亮平(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 中村 慶史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤田 秀人(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮田 隆司(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 岡本 浩一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 古河 浩之(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 井口 雅史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 症例は73歳女性.変形性股関節症に対する術前検査として施行された股関節CT検査にて虫垂の腫瘤性病変を指摘された.精査の結果,虫垂粘液嚢胞腺腫または虫垂粘液嚢胞腺癌の診断で,手術加療目的に当科紹介となった.全大腸内視鏡検査では,盲腸には壁外性圧迫所見はなく,虫垂開口部に異常を認めなかった.骨盤造影CT検査では虫垂は9.5×5cmの嚢胞状腫瘤として認め,内部は造影効果を伴わない均一な低吸収を呈していた.明らかな充実性成分は認めなかったが,造影効果を伴う索状構造物を認めた.嚢胞壁は造影後期で淡い造影効果を認め,一部に石灰化を認めた.MRI検査では嚢胞内部が均一でT1で低信号,T2で高信号を呈しており,その一部にT2で低信号,造影にて造影効果を伴い一部乳頭状に突出する索状構造物を認めた.PET-CTでは病変に有意なFDG集積を認めず,リンパ節転移や遠隔転移の所見を認めなかった.血液検査ではCEA 11.8と軽度上昇を認めていた.術前精査では良悪性の鑑別が困難であったため,手術はD2郭清を伴う回盲部切除を予定した.術中所見では腹腔内に播種は認めず,10×5cm大の弾性のある嚢胞性腫瘤として触知した.切除標本の肉眼所見では嚢胞内部は淡黄色ゼリー状の粘液が充満しており,細胞診では腫瘍細胞は認められなかった.粘膜面には充実性成分を示唆する隆起や結節の所見を認めなかった.病理組織学的検査では嚢胞壁は線維化と軽度の炎症細胞浸潤を伴い,既存の虫垂壁の粘膜構造をはっきりと認めなかった.腫瘍細胞には強い異型は認めず,一部に核の偽重層や低乳頭状に増殖する腺腫様部分を認めた.以上よりWHO分類のlow-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)と診断した.術後経過は良好で術後17日目に退院となった.虫垂腫瘍は画像検査による診断が困難な症例が多く,確定診断には病理組織学的評価が必須である.WHO classification of Tumours of the Digestive System 4th editionでは虫垂腺癌の中にlow-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)が分類されている.今回我々はLAMNと診断した1例を経験したので報告する.
索引用語 虫垂, low-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)