セッション情報 一般演題

タイトル 002:

膵腺扁平上皮癌の1例

演者 高田 淳(西美濃厚生病院 内科)
共同演者 岩下 雅秀(西美濃厚生病院 内科), 田上 真(西美濃厚生病院 内科), 高橋 浩子(西美濃厚生病院 内科), 畠山 啓朗(西美濃厚生病院 内科), 林 隆夫(西美濃厚生病院 内科), 前田 晃男(西美濃厚生病院 内科), 西脇 伸二(西美濃厚生病院 内科)
抄録 症例は86歳女性.認知症,廃用症候群にてグループホーム入所中であった.平成24年2月頃より上腹部皮下腫瘤認め,たびたび腹痛を訴えるようになった.6月に入り,摂食量低下してきたため,当科受診.腹部単純CT・USにて膵体部に充実部と嚢胞部が混在する76×70mm大の腫瘍を認め,その尾側には体部~尾部にかけて1.5~5cm大の,隔壁様構造によって区切られた多房性嚢胞を認めた.腹水も少量みられた.全身状態不良で血液検査結果も不良であったため,入院精査加療となった.入院時,全身に浮腫を認め,上腹部は膵腫瘍により膨隆しており,同部に圧痛を認めた.血液検査では,腫瘍マーカーはCEA 69.0ng/ml,CA19-9 3561.4U/mlと高値であった.SCCも24.6ng/mlと高値であった.腹部造影CTでは,膵腫瘍充実部辺縁は濃染し,内部は不均一に軽度の造影効果を認めた.腹腔動脈と上腸間膜動脈,上腸間膜静脈はいずれも腫瘍により高度に圧排偏位していたが,腫瘍の浸潤は明らかでなかった.MRCPでは主膵管は描出されず,ERCPでも主膵管は頭部で途絶していた.EUSでは,体表からのUS同様の所見を認め,診断目的に膵体部の充実部よりEUS-FNAを施行.腫瘍は通常型の膵癌と異なり,軟らかい印象で容易に穿刺可能であった.また,穿刺後,腫瘍内は出血とみられる高エコー域が広がり,造影CTの所見と併せ,比較的多血性の腫瘍である可能性が示唆された.同時に嚢胞部も穿刺し,嚢胞内容液を吸引したところ,嚢胞は漿液性であった.充実部の病理組織診にて腺扁平上皮癌との診断であり,膵腺扁平上皮癌と診断した.しかし,全身状態不良で,高齢であったこともあり,積極的治療が行える状態ではなかった.第15病日,突然の嘔吐後に心肺停止となり,永眠された.本症例は,嚢胞部の画像所見とFNAにて嚢胞内容液が漿液であったことから膵漿液性嚢胞性腫瘍(serous cystic neoplasm;SCN)のtype 2b(pure macrocystic type)ではないかと推察され,SCNに膵癌が合併した可能性が考えられた.膵腺扁平上皮癌は稀であり,さらに,SCNの悪性例の報告も稀であるため,文献的考察を加え,画像を供覧する.
索引用語 膵癌, 腺扁平上皮癌