セッション情報 シンポジウム 「自己免疫関連消化器疾患の診断と治療」

タイトル S-001:

自己免疫関連胆道疾患-IgG4関連硬化性胆管炎と原発性硬化性胆管炎の相違点-

演者 内藤 格(名古屋市立大学大学院 消化器・代謝内科学)
共同演者 中沢 貴宏(名古屋市立大学大学院 消化器・代謝内科学), 大原 弘隆(名古屋市立大学大学院 地域医療教育学)
抄録 【目的】従来より自己免疫関連胆道疾患のひとつとされている原発性硬化性胆管炎(PSC)と近年、疾患概念が定着しつつあるIgG4関連全身疾患の胆道病変と考えられているIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の鑑別は時に困難であるが、両者は治療法、予後が異なるため、適切な鑑別診断が重要である。今回、我々は両者の相違点を明らかにする目的で検討を行なった。【方法】IgG4-SC75例、PSC46例を対象とし、その血液像、胆管像、肝生検像、他臓器病変について比較検討を行なった。【成績】1)血液像:IgG4値はIgG4-SC 619±718mg/dl、PSC 54±52 mg/dl とIgG4-SCで有意に高値であり(p<0.001)、IgG4高値(>135mg/dL)はIgG4-SC86%、PSC4%に認め、IgG4-SCで有意に高頻度であった(p<0.001)。2)胆管像:IgG4-SCに有意な所見としてsegmental stricture、long stricture with prestenotic dilatation、下部胆管狭窄(p<0.001)、PSCに有意な所見として、帯状狭窄、数珠状所見、剪定状所見、憩室様所見 (p<0.001)を認めた。3) 肝生検像:IgG4-SCではIgG4染色にてPSCより有意に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めた(7.2個vs0.4個/強拡大1視野;p<0.001)。4)他臓器病変:IgG4-SCの他臓器病変として自己免疫性膵炎(AIP)を71例(95%)、硬化性唾液腺炎を13例(17%)、後腹膜線維症を9例(12%)に認めたが、PSCでは上記3病変とも認めず、IgG4-SCで有意に高頻度にAIPを認めた(p<0.001)。また、炎症性腸疾患(IBD)の合併はIgG4-SC0%、PSC54%とPSCで有意に高頻度であり (p<0.001)、PSCに合併したIBDは無症状(56%)、右側有意の潰瘍性大腸炎(48%)という特徴的な所見を呈した。【結論】自己免疫性胆道疾患と考えられているIgG4-SC、PSCの臨床像は大きく異なると考えられた。
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, 原発性硬化性胆管炎