セッション情報 一般演題

タイトル 003:

直腸癌に併存したSCNの一例

演者 森島 大雅(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 石川 英樹(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
抄録 症例は64歳、女性。排便時の肛門痛があり近医を受診し、肛門鏡にて腫瘍を認めた為、精査加療目的に当院紹介受診となった。下部消化管内視鏡検査では直腸Rbにほぼ全周性の中心が陥凹した隆起性病変を認め、生検にてwell differentiated adenocarcinomaと診断した。注腸検査では直腸Rbに立ち上がり急峻な中心に陥凹を認める隆起性病変あり、側面像では台形状変形を認めた。病期診断の為に施行した腹部超音波検査にて、膵頭部に47mm大の多房性嚢胞性病変を認めた。Sonazoid造影超音波検査では嚢胞性病変にバブルの流入は認めず、また壁在結節や嚢胞壁肥厚も認めなかった(Sonazoidの適応外使用は当院倫理委員会の承認済み)。造影CTでは直腸に40mm大の腫瘍を認め、周囲リンパ節腫大、大動脈総腸骨動脈分岐部付近のリンパ節腫大も認めた。膵頭部には中心に石灰化を認める大小混在した多房性嚢胞性病変を認めた。EUSでは膵頭部に細かな嚢胞の集簇し、その周囲に比較的大きな嚢胞性病変が連続していた。明らかな壁在結節、壁肥厚部位は認めなかった。上記検査結果より直腸癌、リンパ節転移陽性および、膵漿掖性嚢胞性腫瘍(SCN)、macrocystic typeと診断した。直腸癌に対しては当院外科にて腹会陰式直腸切断術を施行され、術中所見にて腹膜播種を認め、現在は化学療法(FOLFOX→FOLFILI)施行されている。SCNについては診断より半年経過後の造影CTでも腫瘍の増大傾向は認めていない。これまでIPMN症例には他臓器癌の合併が報告されているが、SCNに他臓器癌が合併する報告は、医学中央雑誌にて1983-2012年の期間で「漿掖性嚢胞性腫瘍」「他臓器癌」のキーワードで検査するが報告を認めなかった。今回我々は直腸癌に併存したSCNの一例を経験したので報告する。
索引用語 SCN, 他臓器癌