セッション情報 シンポジウム 「自己免疫関連消化器疾患の診断と治療」

タイトル S-002:

自己免疫性膵炎診断における診断的ステロイドtrialの有用性についての検討

演者 石川 卓哉(名古屋第一赤十字病院)
共同演者 春田 純一(名古屋第一赤十字病院), 山口 丈夫(名古屋第一赤十字病院), 土居崎 正雄(名古屋第一赤十字病院), 山 剛基(名古屋第一赤十字病院), 亀井 圭一郎(名古屋第一赤十字病院), 澤田 つな騎(名古屋第一赤十字病院), 水谷 泰之(名古屋第一赤十字病院), 村上 義郎(名古屋第一赤十字病院), 服部 峻(名古屋第一赤十字病院), 山田 健太(名古屋第一赤十字病院), 八鹿 潤(名古屋第一赤十字病院)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎 (AIP) の診断における診断的ステロイドtrialの有用性について検討すること。【方法】当院で各種検査から自己免疫性膵炎が疑われたものの確定診断が困難であったため、診断的ステロイドtrialを行った2例についてretrospectiveに検討した。ステロイドtrialとして経口プレドニゾロン30mg/日を2週間投与した後の画像所見の変化、臨床経過を検討した。【結果】症例1は50歳代男性。血清アミラーゼ高値のため施行した腹部CT検査にて膵頭部に30mm大の腫瘤を指摘され紹介となった。多相造影CTでは腫瘤は動脈相で周囲膵実質より乏血性、平衡相で等吸収となった。ERCPの膵管造影では頭部主膵管に限局した不整な狭窄を認め、尾側主膵管は拡張していた。胆管造影では下部胆管は狭窄しており左方偏位を認めた。血清IgG4は352mg/dlと高値であった。画像所見からは膵管癌を疑ったが血清IgG4が高値でありAIPも疑われた。EUS-FNAでは悪性所見は得られなかったがLymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisとの確定診断は困難であった。ステロイド投与2週間後の腹部CTで膵頭部の腫瘤は著明に縮小し、AIP1型確診と診断した。症例2は60歳代女性。胃癌術後経過観察目的の腹部CTにて膵体部に腫瘤を指摘され当科紹介となった。ERCPの膵管造影で体部主膵管に限局した狭細像を認めたが、尾側主膵管拡張は軽度であった。血清IgG4は正常値だった。EUS-FNAで悪性所見はなく、AIP疑いとして経過観察したが初診時より3カ月後の腹部CTにて後腹膜に軟部影、両側水腎症の出現を認めた。後腹膜線維症を疑い、ステロイドtrialを行ったが、投与2週間後のCTで画像所見の改善はみられなかった。初診時より4カ月後の腹部CTにて腹水が出現、細胞診にてadenocarcinomaと診断された。【結論】診断的ステロイドtrialはAIP診断に有用であるが悪性疾患の存在を常に念頭におく必要があり、2週間で画像所見の改善がみられない場合は他疾患の可能性を考える必要がある。
索引用語 自己免疫性膵炎, ステロイドtrial