セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 029:内視鏡的に整復し得た胃軸捻転症の1例 |
演者 | 稲垣 佑祐(名古屋市立西部医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 足立 和規(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 山川 慶洋(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 平野 敦之(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 河合 宏紀(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 木村 吉秀(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 土田 研司(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 妹尾 恭司(名古屋市立西部医療センター 消化器内科), 勝見 康平(名古屋市立西部医療センター 消化器内科) |
抄録 | 症例は83歳男性。主訴は吐血。腹部膨満感を自覚し赤黒いものを吐いたためかかりつけを受診した。同病院で上部消化管内視鏡検査を行ったところ胃内に黒色の残渣を多量に認め、出血源は確認できなかったが上部消化管出血と判断し当院へ転院搬送となった。既往歴として肺癌による左肺全摘後、弁膜症による慢性心不全などがあった。また詳細は不明であったが他院で嘔吐による入院歴があった。緊急で上部消化管検査を行ったところ、前医で1リットル以上の残渣吸引後であるにもかかわらず、まだ胃内には黒色残渣を多量に認めた。胃体部には捻じれるような変形があり十二指腸への挿入は困難であったが通過は可能で十二指腸に異常を認めなかった。出血源は胃炎か逆流性食道炎と考えたが活動性の出血はなく観察のみで終了とした。胃の変形は肺癌による左肺全摘による影響と考えられ、以前も同様の症状で他院に入院した時に数日の絶食で良くなったという既往があったため今回も絶食とPPIで保存的に経過をみた。しかしその後も腹満は持続し嘔吐もあるため第6病日に胃管を挿入して減圧を開始した。第10病日ガストログラフィンによる胃透視を行い胃軸念転と診断した。保存的には改善しないと判断して第12病日内視鏡を使った整復術を行った。ファイバーの先端を十二指腸水平脚まで挿入し時計軸方向に回転させながら抜去することにより整復された。内視鏡画像的にも捻じれはなくなり、ガストロ造影で確認して終了とした。その後は嘔吐もなくなり、食事も食べられるようになったため退院となった。成人胃軸捻転症は希な疾患であるが診断できれば内視鏡的整復による低侵襲な処置により改善可能なことがある。今回我々の経験した胃軸捻転症について若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 胃軸捻転, 内視鏡的整復 |