セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
047:Y. enterocoliticaによる肝膿瘍の一例
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演者 |
岩井 貴洋(静岡市立清水病院 消化器内科) |
共同演者 |
窪田 裕幸(静岡市立清水病院 消化器内科), 池田 誉(静岡市立清水病院 消化器内科), 川崎 真佑(静岡市立清水病院 消化器内科), 松浦 友春(静岡市立清水病院 消化器内科), 小池 弘太(静岡市立清水病院 消化器内科) |
抄録 |
Yersinia enterocoliticaによる肝膿瘍の一例【症例】70代女性【主訴】食欲不振、体重減少【既往歴】約3ヶ月前からの食欲不振と10 kgの体重減少を主訴に近医受診、精査目的で当院紹介受診となった。受診時軽度の嘔気があったが、腹痛、嘔吐、下痢などの症状は認めなかった。血液検査にて肝機能異常、炎症反応高値、HbA1c 14.9%を認めた。腹部エコーにて肝S6に境界やや不明瞭な4 cm大の低エコー腫瘤を認めた。腹部造影CTでは、同部位辺縁に造影効果のある腫瘤を認め、肝膿瘍と診断した。また、上行結腸の壁肥厚、周囲のリンパ節腫大を認め、大腸がんが疑われた。PTADを実施し、肝膿瘍および血液培養からY. enterocoliticaが検出された。第8病日に腹部造影CTにて膿瘍縮小を認め、また上行結腸壁肥厚、周囲のリンパ節の縮小も認めた。このため感染性胃腸炎による壁肥厚が疑われ、第10病日に下部消化管内視鏡を実施した。回盲部に潰瘍、びらんを認めた。生検、粘膜培養、便汁培養、アメーバ検鏡を実施した。Y. enterocoliticaを始め、病原性微生物は検出されなかったが、病理結果は炎症性細胞浸潤のみで悪性所見はなかった。第15病日にPTAD抜去し、第21病日退院した。本症例の起炎菌Y. enterocoliticaの抗血清への凝集性、生化学的性状から血清型と生物型を解析し、血清型O:8群 生物型1Bであり、強毒株と呼ばれるタイプであることを明らかにした。【結語】Y. enterocoliticaによる感染性腸炎に肝膿瘍を合併したと考えられた。肝膿瘍の起炎菌としては極めて稀であり文献考察を加え報告する。 |
索引用語 |
肝膿瘍, エルシニア |