セッション情報 シンポジウム 「自己免疫関連消化器疾患の診断と治療」

タイトル S-003:

当院における自己免疫性膵炎の治療経験 ―長期経過を中心に―

演者 加藤 晃久(春日井市民病院 消化器科)
共同演者 奥田 悠介(春日井市民病院 消化器科), 森岡 優(春日井市民病院 消化器科), 杉山 智哉(春日井市民病院 消化器科), 立松 有美子(春日井市民病院 消化器科), 尾関 貴紀(春日井市民病院 消化器科), 池内 寛和(春日井市民病院 消化器科), 望月 寿人(春日井市民病院 消化器科), 平田 慶和(春日井市民病院 消化器科), 高田 博樹(春日井市民病院 消化器科), 祖父江 聡(春日井市民病院 消化器科)
抄録 【目的】ステロイド(PSL)治療は自己免疫性膵炎(AIP)の標準治療であるが、治療の適応や方法について未だ議論されるところである。今回我々はAIPの長期経過についてPSL治療を中心に検討した。【方法】1993年7月以降当院で経験したAIP25例のうち1年以上経過を追えた21例を対象とし、膵病変を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)1例も含めた。男性18例、女性3例、年齢23~82歳(平均64.0歳)、観察期間1年~10年7ケ月(平均4年3ケ月)。PSLの初期治療開始から1年以上投与した維持療法あり群12例、治療開始から1年未満に投与終了した維持療法なし群4例、およびPSLを投与しなかった非投与群5例の3群に分けて再燃率を比較検討した。維持療法あり群におけるPSL維持投与量別に再燃率を比較検討した。【成績】再燃率は維持療法あり群、維持療法なし群および非投与群で各々33.3%(4/12)、50%(2/4)および20%(1/5)であり、PSL治療による有意な再燃率の差は認めなかった。PSL維持投与量別の再燃率は、PSL維持投与量2.5mg/日以下では28.5%(2/7)、PSL 5mg/日以上では40%(2/5)との結果で、維持投与量の違いで再燃率に有意差は認められなかった。今回特徴として維持療法あり群の再燃率が高かった。IgG4-SC症例を除く20例の膵腫大・膵管狭細像はびまん性:7例、限局性:13例の内訳となるが、再燃例4例は全例びまん性膵腫大を呈しており、維持療法あり群の非再燃例との比較で有意差が認められた(P<0.05)。全観察期間中で肺癌による死亡例を1例認め、膵・胆道癌の発症は認めなかった。【結論】PSL維持療法を行っても有意に再燃率を低下させる結果には至らなかった。維持投与量別の再燃率にも有意差は認められなかった。少数例の検討であるが、PSL維持療法中に再燃する症例はびまん性膵腫大を呈する症例が多い傾向が認められた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 長期経過