セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 090:

胆嚢捻転症の一例

演者 加藤 誉史(済生会松阪総合病院 内科)
共同演者 三吉 彩子(済生会松阪総合病院 内科), 鈴木 康夫(済生会松阪総合病院 内科), 青木 雅俊(済生会松阪総合病院 内科), 福家 洋之(済生会松阪総合病院 内科), 河俣 浩之(済生会松阪総合病院 内科), 橋本 章(済生会松阪総合病院 内科), 脇田 喜弘(済生会松阪総合病院 内科), 清水 敦哉(済生会松阪総合病院 内科), 中島 啓吾(済生会松阪総合病院 内科), 河埜 道夫(済生会松阪総合病院 外科), 長沼 達史(済生会松阪総合病院 外科)
抄録 【症例】80歳代女性、【主訴】右上腹部痛、【既往歴】特記事項なし、【現病歴】高齢一人暮らしの女性。20xx年6月3日より徐々に増悪する右上腹部痛と嘔吐を認め、食欲低下し自力で食事摂取困難になったため、6月10日当院へ救急搬送された。来院時、意識清明で、身長136cm、体重25.2kg、BMI13.5と著明なるい痩があり、38.0度の発熱を認めた。腹部は平坦軟で、右上腹部に圧痛を認めたが、Murphy Signは陰性で、胆嚢は触知しなかった。血液検査ではWBC13100/μL、Hb8.8g/dl、Plt13.3万/μl,、PT83%、AST73IU/L、ALT95IU/L、T-Bil0.7mg/dl、ALP237U/L、CRP12.6mg/dLと著明な炎症反応上昇と、肝酵素の軽度上昇を認めた。血液ガス分析ではアシドーシスは認めなかった。腹部超音波検査では、著明な胆嚢の腫大と壁肥厚を認め、内部に複数の結石とairが認められた。胆嚢周囲には腹水の貯留を認め、胆嚢動脈の血流は認めなかった。腹部造影CT検査では、腫大した胆嚢は下方に偏位し、右腎下縁まで達しており、胆嚢壁の一部は造影効果不良であった。また、胆嚢頚部に肥厚した軟部影を認め、同部は渦巻き像を呈していた。上記検査より胆嚢捻転による壊疽性胆嚢炎が疑われ、開腹手術となった。術中所見では、血性腹水を認め、胆嚢は胆嚢管のみが間膜により肝下面に付着しているGross分類2の遊走胆嚢で、総胆管から胆嚢管方向にみて時計回りに360度回転し、黒褐色に腫大をしていた。完全型の胆嚢捻転による壊疽性胆嚢炎と診断し、胆嚢摘出術及び腹腔ドレナージを行なった。術後経過は良好で、第37病日退院となった。【結語】胆嚢捻転症は、高齢の痩せた女性に多く、画像所見上、肝床から遊離した遊走胆嚢、胆嚢壁の造影不良、捻転部の渦巻き像などの特徴的な所見がある。胆嚢捻転症は比較的稀な疾患であり、特徴的な症状、身体所見が乏しく診断に苦慮することが多い。今回、当院で経験した症例について若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆嚢捻転, 高齢女性