共同演者 |
藤井 努(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 山田 豪(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 村井 俊文(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 末永 雅也(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 堀田 佳宏(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 福本 良平(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 小林 大介(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 杉本 博行(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 小池 聖彦(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 竹田 伸(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学) |
抄録 |
症例は70歳女性。腹痛を主訴に近医を受診し、血液検査にて肝胆道系酵素の上昇を指摘された。Dynamic CTにて膵頭部に腫瘤を認め、ERCPで十二指腸乳頭部のSMT様隆起、下部胆管の狭窄を認めERBDを留置された。胆管病理組織検査にてadenocarcinomaと診断され、膵頭部癌の診断にて当科に紹介受診となった。当院での再検査では、ERCP・IDUSで主膵管及び胆管末端に狭窄を認め、腫瘍の主座は十二指腸壁内Ap領域であり乳頭部癌の所見であった。術前CEA=0.9ng/ml、CA19-9=15IU/lであった。十二指腸乳頭部癌の診断にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本では十二指腸乳頭部に10×10mm大の非露出型腫瘤を認め、病理組織学的検査の結果、免疫染色でCD56陽性、クロモグラニン及びシナプトフィジンは陰性であり腺内分泌細胞癌、pT2 (pDu1, pPanc0), pN0, M(-), pEM0, fStageIIと診断された。術後はISGPF grade Bの膵瘻を発症したが保存的に改善し、第29病日に退院となった。十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌はまれな疾患で、本邦報告例は自験例を含め15例である。本疾患は悪性度が高く、術後早期に遠隔転移をきたすことが多く予後も不良とされている。今回われわれは十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |