セッション情報 一般演題

タイトル 023:

原発診断に苦慮したAFP産生胃癌と多発肝転移の一例

演者 宮良 幸子(名古屋記念病院 消化器内科)
共同演者 村上 賢治(名古屋記念病院 消化器内科), 神谷 聡(名古屋記念病院 消化器内科), 鈴木 重行(名古屋記念病院 消化器内科), 樋上 勝也(名古屋記念病院 消化器内科), 中舘 功(名古屋記念病院 消化器内科), 伊藤 亜夜(名古屋記念病院 消化器内科), 内田 元太(名古屋記念病院 消化器内科)
抄録 【症例】64才男性。拡張型心筋症、閉塞性動脈硬化症で循環器内科に通院していたが、腹痛にて当院救急外来受診、腹部CTにて多発肝腫瘍を認め、精査加療目的に入院となった。腹部造影CT検査では、肝内の多発腫瘍はリング状に濃染され、転移性肝腫瘍が疑われたが、AFP値が327090と非常に高値だった。原発性肝腫瘍、転移性肝腫瘍の両方の可能性を考え全身検索を行ったところ、上部消化管内視鏡検査で胃角部に2型の隆起性病変を認め、生検結果でAdenocarcinoma、しかしAFP染色は陰性だった。肝生検は御本人の同意が得られなかったため施行できず、AFP産生胃癌と多発肝転移か、胃癌と肝腫瘍の重複か、診断は困難だった。その後多発肝腫瘍は増大し、多発肺転移が出現、状態は徐々に悪化し発症より92日目に永眠された。剖検では、胃は壁内病変が主体で、肝臓はほとんどが腫瘍に置換されており、どちらが原発病変か病理でも診断に迷う所見であった。免疫染色の結果は、AE1/AE3(+)、vimentin(-)、hepatocyte(-)、CK7(-)、CK19(focal 弱+)であり、肝細胞癌を積極的に示唆する所見は乏しく、胆管上皮マーカーが一部弱陽性を示したが、神経周囲腔浸潤が見られない、間質線維化に乏しいなど、胆管細胞癌の特徴的所見も明らかでなかった。胃生検組織ではAFP陰性であったが、剖検材料では胃、肝、肺の腫瘍の一部はAFP染色が陽性であったこと、また臨床経過や腫瘍マーカー値もあわせて、AFP産生胃癌とその多発肝転移と診断した。【結語】原発診断に苦慮したAFP産生胃癌と多発肝転移の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 AFP産生胃癌, 多発肝転移