セッション情報 一般演題

タイトル 081:

GERDによる食道狭窄に対し食道下部切除を施行し、経口摂取可能となり認知症状が改善された一例

演者 丹羽 由紀子(名古屋大学消化器外科)
共同演者 小池 聖彦(名古屋大学消化器外科), 柳川 まどか(名古屋大学老年科), 松下 英信(名古屋大学消化器外科), 神野 敏美(名古屋大学消化器外科), 小林 大介(名古屋大学消化器外科), 田中 千恵(名古屋大学消化器外科), 中山 吾郎(名古屋大学消化器外科), 藤原 道隆(名古屋大学消化器外科), 小寺  泰弘(名古屋大学消化器外科)
抄録  認知症を有する高齢者の外科的手術患者数は増加している。手術の適応範囲を狭めることなく、術前に認知症を正確に評価することにより、適切な治療計画をたてることが重要である。 今回われわれは認知症を正確に評価し、術後経口摂取可能となり認知症状が改善された1例を経験したので報告する。 症例は80歳男性。既往歴は高血圧、糖尿病。現病歴は5年前からアルコール依存症と逆流性食道遠を発症するも、未治療のまま飲酒を継続していた。食道狭窄をきたし経口摂取不能となり、2011年12月に近医入院。内視鏡的バルン拡張術を6回施するも拡張はえられず、食道穿孔を合併し保存的治療にて軽快した。前医入院中に転倒し、大腿骨頚部骨折のため手術施行後誤嚥性肺炎を合併した。当院へ食道狭窄手術治療目的のため転院となった。病変はLt-Aeにかけての長径3cmにわたる全周生狭窄であった。下部食道切除と胃瘻造設を提示し、ご本人ご家族ともに下部食道切除を希望された。歩行器を使用しており、PS3、認知症を認めた。老年科の評価では脳血管性痴呆であり、Mini Mental State Examination(MMSE)では9/30と重度の認知機能低下を認めるも、転院による環境の変化と長期の入院によるもの一時的な低下と考えられ、経口摂取とリハビリにより回復が望めるとのことであった。2012年6月開腹下下部食道切除・空腸間置術施行した。術後譫妄を軽度認めたが、家族の付き添いにより問題行動はなかった。術前よりリハビリテーションを開始し、術後第1病日より再開した。術後経過良好で、合併症なく術後10病日に経口摂取開始した。MMSEは術後第32病日では21/30と軽度認知症まで回復し、歩行は杖歩行まで回復した。術後第36病日、老人保健施設へと転院となった。
索引用語 逆流性食道炎, 認知症