セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 037:

胆道狭窄を伴った十二指腸潰瘍の一例

演者 堀口 徳之(社会保険中京病院 消化器科)
共同演者 戸川 昭三(社会保険中京病院 消化器科), 杉村 直美(社会保険中京病院 消化器科), 石原  祐史(社会保険中京病院 消化器科), 飛鳥井 香紀(社会保険中京病院 消化器科), 高口 裕規(社会保険中京病院 消化器科), 井上 裕介(社会保険中京病院 消化器科), 長谷川 泉(社会保険中京病院 消化器科), 榊原 健治(社会保険中京病院 消化器科), 大野 智義(社会保険中京病院 消化器科)
抄録 【症例】51歳男性【主訴】右季肋部痛【現病歴】他院にて統合失調症で通院中。リスペリドン3mg/日内服中。2010年7月24日より右季肋部痛が出現。7月27日に腹痛の増強を認めたため当院救急外来を受診。来院時、発熱は認めないが腹痛は持続。腹部エコーと腹部CTにて胆嚢腫大、胆嚢壁の肥厚を認めたが明らかな胆石を認めず。血液検査で炎症反応高値、肝胆道系酵素の上昇を認めたため無石胆嚢炎の診断にて緊急手術を検討。MRCPを施行し総胆管結石は認めず。総胆管の先細り状の狭窄、胆管周囲の浮腫像を認めたことから悪性腫瘍も否定できないため精査加療目的で当科入院となった。入院後、CTRX2g/日で加療開始。翌日、胆管狭窄や胆管周囲の浮腫の精査のため腹部急速造影CTを施行し十二指腸球部から下行脚にかけて壁肥厚、胆嚢の浮腫状壁肥厚、中下部胆管に高吸収域をみとめ胆嚢炎の十二指腸への炎症の波及または胆管腫瘍と考えた。7月29日に胆管病変の精査のためERCPを施行。十二指腸の壁肥厚も強かったためERCPの際に十二指腸病変の有無を確認するためまず直視鏡で観察を施行。十二指腸球部下壁に深掘れの活動性潰瘍を認めた。この結果から十二指腸潰瘍による炎症が胆管へ波及し炎症性の胆管狭窄、胆嚢浮腫を来たしたと考えられた。プロトンポンプ阻害薬にて加療開始。8月2日に症状の軽快,炎症反応と肝機能の改善を認めたためCTRX投与は計5日間で終了とした。8月6日の上部内視鏡検査で十二指腸潰瘍は軽快。8月10日に胆嚢腫脹、胆管狭窄の経過観察のため腹部CT施行したところ胆嚢壁肥厚や腫脹は改善。MRCPでも胆管狭窄の改善も認めた。【考察】我々は十二指腸潰瘍が原因となった良性胆道狭窄の一例を経験した。良性胆道狭窄は原因が様々であり、原因疾患の確定は困難であるが治療方針の決定する上で重要となる。 本症例のように十二指腸潰瘍の炎症が波及して胆道狭窄を引き起こした報告例は少なく、稀である。若干の文献的考察を加えて報告する、
索引用語 良性胆道狭窄, 十二指腸潰瘍