セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | 050:急速に増大した肉腫様肝癌の1例 |
演者 | 市川 崇(三重県立総合医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 川崎 優也(三重県立総合医療センター 消化器内科), 森谷 勲(三重県立総合医療センター 消化器内科), 田中 淳一朗(三重県立総合医療センター 消化器内科), 笠井 智佳(三重県立総合医療センター 消化器内科), 大矢 由美(三重県立総合医療センター 消化器内科), 井上 英和(三重県立総合医療センター 消化器内科), 伊藤 信康(三重県立総合医療センター 消化器内科), 高瀬 幸次郎(三重県立総合医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【症例】67歳男性 【既往歴】高血圧症 【家族歴】特記事項なし 【現病歴】C型慢性肝炎、高血圧症にて近医通院中、2009年5月に右側腹部痛を自覚した。画像検査にて肝S5に80mm大の肝腫瘤を認め当院紹介受診。AFP 12.0ng/mlと軽度高値であり、7月1日に腹部血管造影検査を施行したところ、肝右葉を中心に多発肝細胞癌を認め、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行した。その後、同年9月、10月、2011年6月にもTACEを施行した。以後は画像上、再発所見なく経過していたが、2012年4月下旬より右季肋部痛、発熱が出現。造影CTにて造影効果の乏しい腫瘍が肝右葉を占めるように急速に出現しており、門脈右枝~本幹にも腫瘍栓を認め、精査加療目的に同年5月14日、当科入院となった。【身体所見】意識清明、貧血・黄疸なし、呼吸音心音正常、腹部平坦・軟、右季肋部から心窩部にかけて肝触知、右季肋部圧痛あり 【血液検査所見】Alb 3.4g/dl、T-Bil 0.67mg/dl、AST 23IU/l、ALT 23IU/l、AFP 2.0ng/ml、PIVKA2 8mAU/ml 【入院後経過】5月15日、6月22日にTACEを施行した。しかし腫瘍は治療の甲斐なく急速な増大傾向を示し、肝不全となった。多量癌性腹水、低アルブミン血症に対して利尿剤、アルブミン補充、腹水穿刺排液、分枝鎖アミノ酸製剤投与等の内科的治療を施行するも改善なく、7月2日に永眠された。ご家族の同意を得て病理解剖を施行した。肝臓は3900g、肝右葉はほぼ全域を腫瘍が占めており、門脈腫瘍塞栓、肝門、膵、傍大動脈、縦隔リンパ節転移を認めた。病理組織像では腫瘍は索状に配列する紡錘形細胞によって構成され、TACE後の肉腫様変化と診断した。【結語】肝細胞癌初回治療3年後に急速に出現、増大をきたし、短期間に死亡した肉腫様肝癌の1例を経験した。肉腫様肝癌はTACE等の抗癌剤治療や経皮的治療後に発生頻度が高いとされ、浸潤性増殖を示し、高率に肝外転移を来す予後不良な病態と考えられており、肝細胞癌に対する抗癌剤治療や経皮的治療後には肉腫様変化を念頭において経過観察していく必要があると考えられた。 |
索引用語 | TACE, 肉腫様肝癌 |