セッション情報 一般演題

タイトル 010:

腸閉塞発症後約5か月にわたりQOLを維持できた膵癌の一例

演者 松下 知路(岐阜赤十字病院 消化器内科)
共同演者 宮崎 恒起(岐阜赤十字病院 消化器内科), 杉江 岳彦(岐阜赤十字病院 消化器内科), 高橋 裕司(岐阜赤十字病院 消化器内科), 伊藤 陽一郎(岐阜赤十字病院 消化器内科), 名倉 一夫(岐阜赤十字病院 消化器内科)
抄録 【症例】49歳,女性 【主訴】食欲不振 【既往歴】甲状腺機能低下症、糖尿病 【現病歴】H22年8月頃より腹痛、食欲不振、全身倦怠感にて当科紹介受診入院となる。【現症】貧血 (-),黄染 (-) 腹部は平坦,軟,圧痛 (-)臨床経過】入院時、腎前性腎障害、脱水を認めた。また、精査により膵体部癌Stgae4a(T4 DU(+) RP(+) PV(+), N0, M0と診断した。また、十二指腸浸潤に伴う狭窄を認め、10/8ステント留置を行った。PS1であり、10/11よりGEM+S-1導入した。また、疼痛はオピオイドにてコントロールしていた。11/4腸閉塞を発症、化学療法を中止し、IVH管理、およびオクレオチドにて軽快し、一時退院となった。12/13腸閉塞再発、 経鼻イレウス管にて減圧を行った。この時癌性腹膜炎と骨盤腔内での小腸の狭窄を認めた。12/24イレウス管抜去、12/28よりGEM療法再開した。その後、腸閉塞再発の可能性高く、H23/1/11内視鏡的胃瘻増設術施行している。IVH管理であったが、腸閉塞の再発はなく、H23/1/24退院となる。その後2/8腸閉塞再発、胃瘻よりイレウス管挿入し減圧をはかり、退院は出来なかったものの、腸閉塞による症状の緩和は有効であった。敗血症発症し、4月に死亡となる。【考案】近年、膵癌に対する化学療法にてある程度の生存とQOLの改善は得られている、ただし、膵癌浸潤、癌性腹膜炎に伴う腸閉塞は、QOL低下の大きな原因となっている。本症例は、腸閉塞を発症するもオクレオチド投与、経鼻・経胃瘻イレウス管留置等にて、腸閉塞発症後も約4か月のある程度のQOL維持を行うことができた。膵癌の緩和医療に対しては、疼痛コントロールもにならず、多角的な処置も有効であると考えられた。
索引用語 膵癌, 緩和