セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 074:血管内コイル塞栓術にて止血し得た特発性大網出血の一例 |
演者 | 加藤 潤一(岐阜市民病院 消化器内科) |
共同演者 | 高木 結衣(岐阜市民病院 消化器内科), 入谷 壮一(岐阜市民病院 消化器内科), 黒部 拓也(岐阜市民病院 消化器内科), 渡部 直樹(岐阜市民病院 消化器内科), 中島 賢憲(岐阜市民病院 消化器内科), 鈴木 祐介(岐阜市民病院 消化器内科), 小木曽 富生(岐阜市民病院 消化器内科), 川出 尚史(岐阜市民病院 消化器内科), 林 秀樹(岐阜市民病院 消化器内科), 向井 強(岐阜市民病院 消化器内科), 杉山 昭彦(岐阜市民病院 消化器内科), 西垣 洋一(岐阜市民病院 消化器内科), 加藤 則廣(岐阜市民病院 消化器内科), 冨田 栄一(岐阜市民病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】今回我々は、上腹部痛で発症し、血管内コイル塞栓術にて止血し得た極めて稀な特発性大網出血の一例を経験したので報告する。【症例】患者は56歳、男性。起床時に上腹部痛を自覚したが、徐々に増悪するために同日昼過ぎに当院救急外来を受診した。来院時は血圧161/89mmHg、体温36.3℃、意識レベル正常とバイタルサインは正常範囲内であった。しかし、理学所見上で上腹部正中線の臍上1横指に限局した圧痛と軽度の腹膜刺激症状を認めた。血液検査ではWBC9740/uL、CRP0.07とごく軽度の炎症反応の増加がみられたが、肝機能検査値はほぼ正常範囲内であり、またHb14.0であり貧血もみられなかった。しかし、腹部CT検査にて心窩部の腹壁直下脂肪織内に軟部濃度腫瘤と内部の不整な造影効果像が認められた。さらに、腹腔内への造影剤漏出が観察され、腹腔内出血が強く疑われたために、直ちに緊急血管造影検査を行った。腹腔動脈造影により左胃大網動脈の大網枝からの出血が確認され、同部位にコイル塞栓術を施行した。術後の経過は良好であり、腹痛も改善したために、術後12病日に退院となった。【考察】大網出血は、「大網内の動静脈が何らかの要因により破綻し、大網内や腹腔内に出血ないし血腫を形成する病態」と定義される。成因は腹部外傷後の炎症反応や血栓傾向、血腫による大網の捻転等の外傷性機転、抗凝固薬内服歴や大網悪性腫瘍、静脈瘤、動静脈奇形等の非外傷性機転により生じるとされるが、自験例のように明らかな要因を同定できない場合は特発性と診断される。演者らが医学中央雑誌で検索しえた限りでは80例の報告がみられたが、自験例のように早期に診断して血管内塞栓術にて止血し得た症例は極めて稀であった。【結語】発症後の比較的短時間で、腹部造影CT検査にて診断し、内科的に血管内コイル塞栓術にて止血・治癒し得た特発性大網出血の一例を報告した。 |
索引用語 | 大網出血, 血管内塞栓術 |