セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 072:自然還納を認めた閉鎖孔ヘルニアの2例 |
演者 | 市川 健(済生会松阪総合病院) |
共同演者 | 澁澤 麻衣(済生会松阪総合病院), 河埜 道夫(済生会松阪総合病院), 近藤 昭信(済生会松阪総合病院), 田中 穣(済生会松阪総合病院), 長沼 達史(済生会松阪総合病院) |
抄録 | 【症例1】80代男性。腰背部の違和感を主訴に救急外来受診。身体所見では腹部は軽度膨隆しており、右腰部から背部にかけての自発痛を認めHowship-Romberg sign(H-R sign)は陰性。腹部CTで小腸イレウス像に加え右閉鎖孔に嵌入する26mm大の軟部組織陰影を認め小腸の嵌頓を疑う所見であった。検査後に症状自然軽快したため再度CTを施行した所、小腸の拡張は改善し閉鎖孔内の軟部陰影は消失。嵌頓した小腸が自然還納したものと判断し自然還納した閉鎖孔ヘルニアの診断で、炎症反応や腸管壊死の所見も認めなかったため待機的に硬膜下Direct Kugel Patch(DKB)を用いた腹壁前方到達によるヘルニア修復術を行った。術後合併症は認めず、第3病日退院。術後2年現在再発なし。【症例2】70代女性。以前から繰り返す右股関節痛を自覚しており、今回NSAIDs使用も軽快せず救急外来受診。身体所見ではH-R sign陽性で、腹部CTで右閉鎖孔に嵌入する軟部組織陰影を認めた。来院後2時間後、股関節痛は消失しH-R signは陰性化したため閉鎖孔ヘルニアの自然還納と判断し、翌日のCTでは軟部組織の嵌入所見は消失しており待機的に硬膜下DKBを用いたヘルニア修復術を施行した。術後合併症は認めず、第5病日退院。術後2ヶ月再発なし。【考察】自然還納された閉鎖孔ヘルニアの2例を経験した。症状の軽快とCTでの自然還納を確認し、再発防止の目的で待機的に低侵襲を目指し硬膜下DKBを用いた腹壁前方到達によるヘルニア修復術を行った。本症の自然還納例は稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 閉鎖孔ヘルニア, Direct Kugel |